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新オズのカボチャ頭のジャック

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第五幕その十

「私も噂は聞いていたが」
「それでもだね」
「実際に見るとね」
 その目でというのです。
「全く違うね」
「お話に聞くのとだね」
「実際に見ると」
「百聞は一見に如かずというけれど」
「お話を聞くより美人さんだったね」
「遥かにね、あれだけの美人さんはね」 
 教授はしみじみとした口調で言いました。
「オズの国でもオズマ姫等ね」
「僅かだね」
「そうだよ」
「本当に奇麗だったわね」
 オズマもしみじみとした口調で言います。
「市さんは」
「オズマもそう言うんだ」
「ええ、お姫様でなかったら」
 ジャックにお話します。
「トップモデルか大女優よ」
「そこまで奇麗だね」
「そう思うわ。ただ穏やかな人ね」
 そのお人柄のお話もしました。
「農さんもそうだったけれど」
「信長さんの奥さんの」
「信長さんは凄く陽気で明るい人だけれど」 
 お兄さんのこの人はとうのです。
「あの人はね」
「逆にだね」
「穏やかな人ね」
「大人しくて」
「そう見えたわ」
「信長さんは本当にずっとです」 
 ここで信長さんと同じ日本人の恵梨香が言ってきました。
「気性が激しくてかっとなると血も恐れない」
「そんな人だって言われていたのね」
「はい、横紙破りで」
「斬新であることの裏返しね」
「突拍子もない人だって」  
 その様にというのです。
「言われていてお酒もです」
「酒乱みたいな人だって」
「言われていたんですが」
「実際は明るくて陽気でね」
「気さくでおもてなしがお好きで」
「気遣いも出来る人だったわね」
「それで甘いものが」
 お酒ではなくです。
「大好きでしたね」
「そうした人だったわね」
「それがです」
 そうしたことがというのです。
「本当にです」
「違っていたわね」
「そうでしたね」
「その信長さんとは違って」
 市姫はというのです。
「どうもね」
「穏やかですね」
「兄妹でも違うわね」
「それに結構年齢が離れている感じがしたよ」 
 ジャックはこのことを指摘しました。
「何かね」
「ああ、そうだったね」
 ガンプはジャックの言葉に頷きました。
「言われてみると」
「そうだよね」
「十歳以上ね」
「そうだったね」
「兄妹でも」
「歳が離れていたね」
「そう、信長さんは兄弟姉妹が多かったのだよ」 
 教授がお話してきました。
「そして市姫とは実際にだよ」
「年齢が離れていたんだ」
「そうだったんだ」
「成程ね」
「お子さんも多くて」
「ご家族多かったんだ」
「当時にしてもね」
 ジャックに学者さんとしてお話します。
「そうだったんだ」
「その中に市さんもいたんだね」
「そして浅井長政さんに嫁いだんだ」
「ご夫婦になったんだね」
「そうなんだ、あと秀吉さんだけれど」
 羽柴さんのお話もしました。
「どうもあの人は市姫を慕っているね」
「あっ、何かそんな感じがしたね」
「そうだね」
 かかしも樵も言われて気付きました。
「言われてみれば」
「そんな風だったよ」
「このことは日本では昔から言われている様だよ」
「そうなのかな」
 ジャックはそのお話を聞いて日本人の恵梨香に尋ねました。
「そんなお話あるのかな」
「私はまだ聞いてないわ」
「そうなんだ」
「ちょっと勉強してみるわ」
「そうするんだね」
「これからね。けれどね」
 こうも言った恵梨香でした。 
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