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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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エルミナの街

 
前書き
グルミクで絵空が出てこなくて泣きました( ノД`)… 

 
エルミナの街へとやってきた俺たち。そこは普通の街とは違う、なんとも不思議な感じを抱かせる街だった。

「おお!!海の匂いがする!!」
「海が近いから?いや、それにしては匂いが・・・」

海がすぐ横にあるから匂いがするのかと思っていたけど、それ以上に街全体に海の匂いが付いているような・・・気のせいかな?

「それにしても建物の壁汚ねぇな」
「古い街なんですよ、きっと」
「迷子にならないようにね、特にナツとハッピー」

建物の壁には藻や貝がへばり付いており異様に汚い。まるで海の中から引き上げられたかのような感覚だ。

「港街ならお魚料理いっぱいあるかなぁ?」
「新鮮なお刺身とかね~!!」
「興味ないわ」

ハッピーはお魚が大好きだからかすでにヨダレが見えている。セシリーも猫だから興味津々だが、シャルルだけはいつも通りだ。

「まずは宿を探そう」

調査のためにしばらくはここに滞在することになるだろうと俺たちはホテルを探すことにした。ちょうど近くにホテルの文字が書いてある建物があったため中に入っていくと、フロントには人がいない。いや、人の代わりになんか変な奴いるけど・・・

「「「「魚?」」」」

フロントの上に置かれているのはピチャピチャと跳ねている魚。なんか服を着ている不思議な魚だけど、ハッピーはそれを見て興奮しており、セシリーとシャルルに抑えられていた。

「なんでこんなところに魚が・・・」
「受付の人はいないのか?」

受付の人どころか泊まっている人の気配すらしない。というか人の気配が無さすぎて不気味だ。

「ウェルカムドリンクってやつか!!」
「ずるいよナツゥ!!オイラにもオイラにもー!!」
「飲むつもり!?」

魚の尻尾を掴み持ち上げるナツさん。お魚大好きハッピーも食べたいらしくフロントの上に乗っかりピョンピョンと跳ねている。

「ノーウェイ!!」

すると自身の危険を察知したのか、魚は大きな声を出すと人の姿へと変化した。

「な・・・」
「人!?」

突然人の姿へとなった魚を見て驚く俺たち。ハッピーは食材を失ったことで泣いてるけどね。

「いらっしゃいませ、ようこそホテルジャーニーへ」
「「「「「魚が人間になったぁ!!」」」」」

ナツさんに足を持たれている格好のままそういった男の人だけど、俺たちにはそんな内容全く入ってこない。ナツさんは慌てて彼を離すと、男性はハンカチを取り出し額の汗を拭う。

「昼寝をしていたらうっかり魚に・・・皆さんも一度は経験がーーー」
「ないわよ!!」

ルーシィさんの素早い突っ込み。しかしそれよりも俺たちの興味は別の方へと向いている。

「お前人間なのか?魚なのか?」
「そこ・・・すごく大事だよ・・・」
「どちらかというと魚ですかね」
「魚なのか!?」

もう何から突っ込めばいいのかわからない状況。ハッピーはいまだに心に傷を負っているようでシクシクと泣いているけど。

「ノーウェイ!!うっかりデートの約束を忘れるとこでした!!皆さん!!部屋は適当に使って使ってくださいな!!」
「お・・・おい!!」
「サメコさん!!今行きますぞー!!」
「サメ・・・」

仕事中じゃなかったのだろうか、男性はそう言うと出口の方へと走っていく。取り残された俺たちは呆けていると、彼はホテルから出る直前でその足を止めた。

「おっと、うっかり一ついい忘れてました。この街に滞在するつもりなら必ず・・・必ず部屋にあるウェルカムドリンクをお飲みください。でないと人間が生きていくのは無理(ノーウェイ)。では!!サメコさーん!!」

そう言い残し走り去ってしまった男性。最後の言葉はかなり力が籠ってたけど、それ以上に何がなんだかわからなかった俺たちはただ立ち尽くしている。

「何だったの?今の人・・・」
「魚・・・」
「魔法だったんですかね?」
「どうします?エルザさん、このホテル・・・」

このままここに泊まっていいものかわからずウェンディがエルザさんに問いかける。

「うむ。妙なホテルだが他を探すのも面倒だな」
「あたしも歩き疲れたぁ。ここでいいよ」
「タダだしな」
「タダってわけにはいかないよ、お金は置いていくわよ」

ここに来るまで歩いてきたこともあり全員疲労が溜まっており、ルーシィさんもソファに座って大きく身体を伸ばしている。かくいう俺も足がパンパンで明らかに身体が疲弊している。

「・・・」
「どうしたの?ハッピー」
「ボーッとしちゃって~」
「なんかお魚食べる気分じゃなくなってきちゃった」
「それは私もわかる」
「さすがにね~・・・」

そんなことをエクシードトリオが話しているが、とにもかくにも俺たちはこのホテルに泊まることにしたため適当な部屋へと向かうことにする。一人一部屋泊まれるような感じだったのだが、俺たちは先程の男性が言っていたウェルカムドリンクを見て絶句した。

「毒薬?」
「これ・・・大丈夫なんですか?」
「本当に飲むの?これ」

ドクロの蓋がされた怪しさ全開のそれに手が進まない。しかしあんなことを言われたら飲まないわけにもいかず、俺たちは渋々それを飲み干し各々の部屋で眠りについた。
















「シリル、起きて」

眠っていると不意に身体を揺すられて目が覚める。そこにはすぐ目の前にウェンディの顔があり、ゆっくりと意識が覚醒していくとある点が気になった。

「おはよう、シリル」
「おはよう、なんで水着なの?」

なぜか水着になっている彼女を見て首をかしげる。しかし俺はそれ以上の異変にようやく気が付き、勢いよく飛び上がる。

「わっ!?何これ!?」

部屋の物が浮いているのだがその理由はすぐにわかった。俺たちがいる部屋が浸水しているのだ。そのせいで部屋の物が浮き上がっているのだと理解する。

「あれ!?てかなんでしゃべれるの!?」

しかしまた不思議なことに水中にいるはずなのに息ができるし何ならしゃべれる。俺が水の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)だからなのかとも思ったけど、今目の前にいる少女も普通に息をしておりますます意味がわからない。

「すごいよシリル!!私たち海の中にいるんだよ!!」

理解が追い付かない俺に対しすでに順応しているウェンディは泳ぎ回りながら楽しそうにしている。外を見るとこの街全体が海に沈んでおり、至るところを魚が泳ぎ回っているのだ。

「シリル!!すごいわよこれ!!」
「綺麗ねぇ」
「水族館みたい~」

その魚たちに交じって泳いでいるのはルーシィさんとシャルルとセシリー。さらにその奥ではナツさんとハッピーも泳いでおり、本当に水族館のアトラクションみたいになっている。

「シリルも行こ!!」
「う!!うん!!」

ウェンディに手を引っ張られ俺も外へと出る。どうやらエルザさんもすでに遊んでいたらしく、サメと競争しているみたいだ。

「この街が海の中に!?」

俺以外全員が順応してて困惑から抜け出せずにいると、もう一人同じ心境の人がいました。グレイさんも何がなんだかわからないようで、その様子を呆然と見つめています。

「海の中なのに」
「息ができるんですよ!!」

困惑しているグレイさんへ泳いでいる姿を見せながら声をかけるルーシィさんとウェンディ。そのあまりのエンジョイっぷりに彼も困惑しているようだった。

「なんか泳ぐの上達してる気がする~」
「もしかしてこれってあの薬の効果なのかしら」

昨日フロントにいた魚と会話しているグレイさん。彼らの話がわずかに耳に入ってくるけど、どうやら水中でも息ができるのはあの薬のおかげらしい。

「だから壁があんなに汚れたのか」

建物の壁に貝や藻が付いていて違和感を覚えたが、その理由は満潮になるとここが海に沈むから。でもだったらあのウェルカムドリンク、毒薬みたいな見た目にしないでほしいかった・・・本当に怖かったんだもんあれ・・・

「昔・・・こういうおとぎ話読んだことあるなぁ」
「水中のお話ですか?」
「どんな話なんですか?」

この光景を見ながらあることを思い出したルーシィさんが口を開く。

「そう。いじめられたカメを助けた青年がね、カメの恩返しで海の世界に行くの」
「それでどうなるんですか?」

カメは助けてないけど状況は今の俺たちと同じ。この後の展開が気になっていると、彼女は頭を押さえて黙ってしまいます。

「どうしたんですか?」
「ルーシィさん?」

ラストを思い出せないのかと思っていたところ、彼女は言いにくそうに口を開きました。

「クラゲに変えられちゃうんだった」
「「!?」」

恩を仇で返すとはまさにこのこと。まさか助けたのにそんなことになるなんて想像できていなかった俺たちは驚愕せずにはいられなかった。

「なぁ、俺たちは水神竜の手がかりを探してこの街に来たんだ。何か情報ーーー」
「ノーウェイ!!」

楽しんでいた俺たちとは異なりグレイさんはこの街に来た理由を覚えていたようでフロントにいた魚の人?にそんな質問を問いかける。するとさっきまでの表情から一転、明らかに怒りの感情を我々へとぶつけてきた。

「水神様に手を出すことは我々が許しませんぞ」

彼がそう言い放った直後、ハッピーたちと一緒に泳いでいた魚たちが彼を鬼の形相で追いかけ始める。さらにはエルザさんと笑顔で競争していたサメも彼女へと食い付いていた。

「ハッピー!!」
「どうしたんだサメ子!?」
「あたしゃサメコじゃないよ!!サメミよ!!」

そしてそれは俺たちの周りを優雅に泳いでいた魚たちも同じで、一気に周りを取り囲んでくる。

「何!?急に!?」
「どうしたの~!?」
「魚たちが襲って・・・」
「みんな落ち着いて!!」
「クラゲにされちゃうんですか!?」

先程までと一気に状況が変わってしまったことで困惑してしまう俺たち。特にウェンディは先程のルーシィさんのおとぎ話のオチのせいで今にも泣き出しそうだ。

「きゃああああ!!」

なぜ彼らが襲ってきたのかわからず落ち着けようとしていると、ルーシィさんが悲鳴を上げたためそちらへ目を向ける。

「何すんのよー!?」

そこには魚に水着を取られて胸元を隠している彼女がいた。

「シリル見ちゃダメ!!」
「ぶふっ!?」

そしてこういう時だけ反応が早いウェンディ。もう今の一撃は目に彼女の手の跡がついたんじゃないかというほど衝撃が入った。

「やんのかコノヤロウ」
「よせナツ!!手を出すな!!一旦引くぞ」
「ちっ」

急変した魚たちに臨戦態勢のナツさんだったがエルザさんの一言で冷静さを取り戻し、彼はルーシィさんを抱えてこの場から立ち去る。俺たちもそれに続くように泳いでいく。

「ノーウェイ!!逃がしてはなりません!!奴らも先日の人間と同じ!!水神様を狙う敵だー!!」
「「先日の人間?」」

後ろから魚の大群が追いかけてくる中、フロントの魚がそんなことを言っているのが妙に耳に残った。本当は色々と聞きたいところではあったが、とにかく俺たちはこの場から逃げることを優先し、なんとか逃げ切ったのだった。
















第三者side

ダンッ

会議室の一室でテーブルを囲っている評議院一同。その中の一人、ゴッドセレナはテーブルを叩きつけ立ち上がる。その視線の先にいるのは、赤髪の青年だった。

「ゴッド本当か?その話」
「あぁ。天使の目撃情報も多いし、信じてもらえるだろ?」

にわかには信じがたい話。しかし現に起きていることを考えても、それは事実であることは博識のある彼らならすぐに理解できた。

「だがなぜそれをワシらに言わなかった?オイ」
「そうだ。それが事実ならばすぐにでも全魔導士にーーー」
「それじゃないですか?」

怒り心頭のウルフヘイムと無表情なものの焦りを隠しきれていないハイベリオン。そんな二人を指さし、リュシーは感じたことを述べる。

「皆さんに伝えたら、ますます混乱を招いてしまうからカミュは伏せてたんじゃないですか?」
「「「「「!!」」」」」

彼女の言葉は的を射ていた。目の前の青年はただ静かに事を進めていたにも関わらず、自分たちは目先の事だけを見て慌てふためいていることに恥ずかしさを感じ、彼らは押し黙る。

「それもあるが、俺が言えなかったのには別の理由がある」
「それはなんだ?カミューニ殿」

リュシーのどストレートな言葉にフォローするようにカミューニが手を上げる。ジュラがその内容を問いかけると彼は少し間を置いてから話し始める。

「このことが多くの人間が知っていることに気付かれると俺たちが対策を取り終える前に攻められる可能性がある。だから準備が整うまで本当は最低限の内で止めておきたかったが、あいつがうっせぇからよぉ」
「それはすまなかった」

ウォーロッドを指さすカミューニとそれに頭を下げる老人。しかし彼はニヤリと笑みを浮かべて話を続ける。

「ただ、これで俺たちは運命共同体になったからな。これからは手伝ってもらうぜ、命懸けで」

一人で抱えていた重圧を他者と共有できたことがよほど嬉しかったのか、青年はこれまでにないほどの笑みを見せる。すると、金色の長い髪を束ねた男は立ち上がった。

「そういうことなら、俺たち以外にも仲間が必要だよな?」
「これ以上誰かに広めるのは得策じゃないと思いますけど?」
「だからここも最少人数にする。実力がある奴だけにな」
「なんか宛てがあんのかよ」

この場にいるのはイシュガルを代表する実力者たち。このレベルの人材ともなると選択肢は限られてくるが、ゴッドセレナ得意気な表情を見せている。

「ゴッドいい奴らがいる。リュシー、お前も手伝え」
「え?私ですか?」

早速行動に移そうとした彼を見て顔を見合わせる面々。そんな中彼が誰にコンタクトを取ろうとしているのかを、ハイベリオンはすぐに理解した。

「ゴッドセレナ、まさか・・・」
「あぁ。俺たちが一番あいつらのことはわかってるからな」

そう言って笑みを浮かべた彼にますます困惑する者と全てを察したものとが別れる。指名されたリュシーは何がなんだかわからないまま、彼の後を付いていった。

















シリルside

「どこなんだ?ここ」
「知らねぇよ、必死に逃げてきたからな」

鎖で封鎖されている建物の中に隠れている俺たち。どうやらうまく巻いたようで、魚たちが追いかけてきている様子はない。

「まさか魚に追いかけられるなんて・・・」
「今まで食べた魚の呪いなんじゃない?」
「じゃあハッピーのせいだね~」

エクシードトリオが冗談交じりにそんな話をしているが、俺たちはこれからの事を考えていかなければならないだろう。

「水神の話をした途端、奴等の態度が変わった」
「祀っていたという話は本当だったんですね」
「海の中だから、神聖な存在になってるのかもね」

水といえば海とも考えられるし、彼らは元々魚類だったという話だから水の神なんて言われたら崇め奉るのは不思議じゃないだろう。そう考えていた俺たちだけど、ルーシィさんだけは違う考えを持っているみたいだった。

「でも、かつて祀っていたって言ってなかった?今でも水神信仰が続いてるってこと?」

エレフセリアさんの言葉を思い出して不思議そうな顔をしているルーシィさん。そんな彼女は水着を取られたためナツさんのマフラーを胸に巻いてるんだけど、彼はそれを返してもらうために引っ張っていて目のやり場に困ってしまう。

「もう一つ気になることがあるな」
「あのお魚さんが言ってたことですか?」

俺の言葉にグレイさんは頷き、話を続ける。

「どうやら俺たち以外にも人間の客がいたらしい」
「どこに行っちゃったんでしょうか」
「もうお魚たちに食べられちゃって・・・」
「やめてよハッピ~・・・」
「怖いこと言わないでよ」
 
先日も俺たち同様に水神竜のことを訪ねてきた人間がいるらしい。けど、何か引っ掛かる。なんかおかしい気がするのは俺の気のせいなのか?

「さて、どうしたものか」
「全員まとめて焼き魚にしちまえばいいんだ」
「ダメよ!!あの魚たちは自分たちの信仰を守ってるだけじゃない。そんなに悪い人たちにも見えなかったし」
「お前の水着取った奴もか?」
「ええ!!あいつは悪い奴だから見つけたら顔に落書きしてやるわ!!《ヘンタイ》って!!」

ルーシィさんの明らかな私念が入っているけど、ここはスルーしておこう。今は大事なことはそこじゃないし。

「確かに悪い奴じゃなさそうだな」
「悪い奴なら、あのウェルカムドリンクは置いてないですよね」

水中で息ができるドリンクを黙っておけば俺たち人間はなす術がなくなる。それなのに彼らはしっかりとそれを渡してくれたということは、水神竜に関わる人以外は客人として迎え入れている証拠だろう。

「でも俺たちの目的は水神竜を倒すことだ。ここの奴等に恨まれようがそれが仕事だ」

ナツさんは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の看板を背負っている以上、依頼を失敗できないと考えている。そのことは俺たちも理解できるが、ウェンディは割り切れていないようで暗い顔をしていた。

「そのことなんだけど、エレフセリアの言葉をよく思い出してみて。彼はこう言った、《五頭のドラゴンを封じてみせよ》って」

ルーシィさんが何を言いたいのかわからず首をかしげる。それはナツさんも同様で、彼女に問いかけていた。

「ようは倒せってことだろ?」
「ううん。"封じる"って色んな意味に取れる。もちろん退治することにも力を消滅させることにも文字通りどこかに封印・・・閉じ込める意味にも取れる」
「つまりどういうことだ?」

分かりやすく説明しようとしてくれてるけどまだ頭が付いていけてない。そんな俺たちにルーシィさんはさらに噛み砕いて説明してくれる。

「つまりは何をもって封じるとするかの定義がないってこと。例えば水神が荒ぶる神として祀られてるとするじゃない?なんとか説得して怒りが静まれば、それって《封じた》ってことになるんじゃないかな?」

例まで出してくれて非常にわかりやすい説明、それを聞いた瞬間ウェンディが笑顔を覗かせる。

「平和的な解決方法があるんですね!?」
「可能性だけどね」

エレフセリアさんにそこの話を詳しく聞いておけばよかったなぁと思いつつも、それでも良いのであればありがたい。アクノロギアレベルのドラゴンなんて、そう簡単に倒せないだろうし。

「そう明らかにつまらなそうな顔をするな」

ルーシィさんの説明に喜んでいるウェンディに対し、ナツさんは不機嫌さを露にしていた。たぶんドラゴンとの戦いになると思って期待してたから、それでよしとされると出番がなくなるからかもしれない。

「お前が一番わかってるはずだ。全てのドラゴンが悪ではないと。倒すことじゃない、生き抜くことこそ私たちの戦いだ」

そんな彼を宥めるように頭を撫でるエルザさん。それを受け、青年の顔は恥ずかしさなのか赤くなっていた。

「わかったよ!!この先ドラゴンの正体がわかるまで手は出さねぇ。だけど少しでも仲間に傷を付けたら・・・」

地面を思い切り殴り付けるナツさん。その顔は彼が本気で戦いに乗り出す時のものになっている。

「滅竜する!!必ず!!」

彼もひとまずルーシィさんの意見に納得したようで全員が頷く。

「そうと決まればまずは情報収集ね」
「水神竜はどんなドラゴンなのか」
「この街は一体何なのか」
「そして私たちより前に訪れた人間の行方ね」

この点がわからない限りはこれからの俺たちの行動が決められない。しかしそれには大きな問題がある。

「街に戻って魚たちの誤解を解くしかねーか」
「話を聞いてくれればいいですけど・・・」
「オイラやだよ・・・」
「トラウマになっちゃう~」

情報収集には街の人たちの話も当然含まれる。しかし肝心の相手が俺たちを敵視しているため、どうすればいいのか悩んでしまう。

「待って!!あたしにいい考えがあるの!!」

頭を悩ませていたところでルーシィさんが笑顔を見せる。彼女の案を聞いた俺たちはそれに賛同し、すぐに行動へと移したのだった。








 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
一応この裏で妖精の尻尾(フェアリーテイル)の方で白魔導士が活動してますが原作と何ら変わらないので完全カットとなってます。 
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