リリカルなのは~優しき狂王~
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第十七話~これから~
前書き
更新遅れてすいませんm(_ _)m
感想でよくご指摘を受ける部分の今回は説明になっているかもしれません。
それではどうぞ
ホテル・アグスタ正面
ヴィータ「これで全部か。」
散乱するガジェットの残骸の中心にいるのは愛機、グラーフアイゼンを持つヴィータであった。その近くにはエリオとキャロの姿もある。
スバルとティアナの二人が戦線からさげられた後、この三人がホテルに残存する全てのガジェットを破壊していた。二人がさがり、人数的には少なくなってしまったが副隊長であるヴィータの力は大きく、さほど手間をかけずに対処ができた。
その三人に前線に出ていたシグナムとザフィーラが合流してきた。
シグナム「ヴィータ、こちらも敵の掃討は終わった。」
ザフィーラ「敵の召喚士がまだいる。それにゲスト1の戦闘も気になる。これからそちらの増援に……」
これからの対応について、召喚士がいると思われる座標に向かうのとライの救援について話し合う。そして二手に別れそれぞれの座標に向かおうとすると、ライが森から駆け出してきた。
いきなり姿を見せたライに驚く一同をライが確認すると全員に声をかける。
ライ「召喚士の方に行くのなら待ってください。」
ヴィータ「ライ!お前、KMFの相手してたんじゃ…」
ここにいるライ以外の全員が感じていた疑問をヴィータが口にした。
ライ「蒼月のおかげです。無頼タイプしかいなかったから全て破壊できました。」
特に難しいことをしたわけではないというようなライの態度にエリオとキャロは驚く。しかしヴォルケンリッターの三人は今は驚くよりも先にすることがあると思い疑問を口にする。
ザフィーラ「それよりも、召喚士の方に行くなとは?」
いきなり犬であるザフィーラが喋ったことに内心驚きつつもライは自分の意見を述べていく。
ライ「先ほど偵察に出てもらったリイン曹長からの連絡で、敵の小型の使い魔が周辺の偵察をしていると。部隊の中核の副隊長達がここを離れたのが判った瞬間、ここにKMFを送り込んでくる危険がある。逆に守りを固めればあちらも手出しできなくなる。」
ヴィータ「ここにも何人か残していく。それで守りはできんじゃねーか?」
ライ「さっきの戦闘には無頼タイプの機体しかなかった。次に送り込まれてくるとしたら、それは月下タイプかそれ以上の機体の可能性が高い。単機ではなく、複数でこられたら副隊長達抜きでは対処がしきれない。」
ヴィータ「……」
シグナム「分かった。指示に従おう。」
ライの意見を吟味していたヴィータとシグナムは素直にそれを受け入れた。
ライ「助かります。リイン曹長は今、合流するためにここに向かって……そういえばスターズの二人は?」
エリオ「えーと…その……今はホテルの裏手の警備をしています。」
ライ「?」
ライの質問にしどろもどろに答えるエリオ。そのことを疑問に思うライであったが自分が質問した後にその場の空気が少し重くなったことを察し、詳しく聞くようなことはしなかった。
ヴィータ「ライ、2人と一緒に裏手の警護に行ってくれ。何があったのかは後で話す。」
ライ「了解です。」
ライは了承すると駆け足でその場をあとにする。
ライを見届けた後シグナムが口を開いた。
シグナム「…いいのか?ランペルージに説明しなくて。」
ヴィータ「今は任務が優先だ。それにあいつも今は自分のことで手一杯だろ。」
シグナム「…彼に対して過保護だな。気に入ったのか?」
ヴィータの不器用な気遣いに対して少し不機嫌になったように聞き返すシグナム。
いつもの彼女であれば作戦中にここまで自分の感情を顕にした態度をとることはない。しかし自分がなぜそんな気持ちになっているのか彼女は気づいていない。主な原因はライの過去を夢で見た後、彼女はその内容を覚えていないがライを目にするたびに胸騒ぎをするようになった。そのことを自分の主であるはやてに相談したところ―
はやて「……それホンマ?」
と言い彼女も驚いていたのである。
話を聞くとはやてとシグナムの他にフェイトも同じようになっていると判明する。そのことについて三人は一度話し合った。しかし雲を掴むような話であると同時にあやふやな気持ちを言葉にできるほど三人は器用ではなかった。そして話した結果、出てきた答えが『ライをしばらく見守る』ということ。消極的な結果ではあるが何を悩んでいるか、彼の何が気になっているのか理解していない彼女達にはこれで精一杯であった。
だから彼についての悩みを持っていないヴィータがごく自然に彼を気遣えていることに少し嫉妬していたのである。
ヴィータ「なっ!そんなんじゃねーよ!」
シグナムの質問にヴィータは少し慌てて悪態をつくように言葉を返した。
二人がそんなやり取りをしていると、少し離れた位置から声が聞こえてきた。その場にいる全員が一瞬身構えるが、声の主を見ると構えを解いた。
リインフォース「みなさ~ん。」
シグナム「リインか。偵察は?」
リインフォース「敵の姿は確認できませんが、魔力の反応はまだ残っています。私一人では危険だからみんなと合流するようにとライさんが。」
ライがそこまで指示を出していることに少し驚きつつもシグナムはリインフォースに先ほどライのデバイスを見たときに感じた疑問を口にした。
シグナム「……リイン、質問なのだが。」
リインフォース「なんです?」
シグナム「彼の‥ランペルージのデバイスにはカートリッジシステムがついていないように見えたのだが…」
リインフォース「そのことですか。はい、お察しの通り彼のデバイス『蒼月』にはカートリッジシステムは装備されていません。その分、他のシステムの強化と彼からオーダーのあった新機能が装備されています。」
シグナム「新機能?」
リインフォース「はいです。」
ヴィータ「シグナムと模擬戦したときの装備じゃねーのか?」
リインフォース「基本となるデバイスの形状はあのままですよ。でも中身のセンサー類の強化や、身体強化の細かい調整、それに剣の刀身にMVSという機能を搭載しました。」
シグナム「エムブイエス?」
聞きなれない単語にシグナムは思わずオウム返しに聞き返す。他のメンバーも同様に首を傾げている。そのことを少し可笑しく感じながらリインフォースは説明を始める。
リインフォース「正式名称『メーザー・バイブレ―ション・ソード』。刀身を高周波振動させて攻撃力を上げるそうです。これがあれば鉄でも簡単に切れるそうです。」
シグナム「なるほど。先ほどKMFを破壊までできたのは、それのおかげか。」
リインフォースの説明に納得したシグナムが頷く。しかしリインフォースを含め機動六課のメンバーはそのMVSが本来の半分の出力ほどしか満たしていないことを知らなかった。この時点でライはナイトメアフレームの武装に関してはあまり情報を提供していなかった。
リインフォース「それと刀身を2つに増やすセカンドフォルム。あともう一つ、今は調整中ですが新機能もあります。」
シグナム「もう一つ?」
リインフォース「はいです。でもそれはまだ完成していないので完成するまでは言わないようにライさんにお願いされているので今は言えませんです。」
ホテル・アグスタ内・廊下
戦闘が一段落しここまでの情報を統括したものをはやては人気のない廊下で見ていた。彼女にとって気になったのは二点。ティアナの誤射とライの新デバイスの機能である。
しかしティアナの方は結果的に怪我人が出なかったため良くはないが最悪の結果だけは避けることができた。今回の結果でティアナが学ぶことができれば次に活かせることができる。
だがライの方はそうも言っていられなかった。今回のことでライの持つ技術の特異性と彼の戦闘能力の高さを証明した。聡明な人間であればこれでライの表向きの経歴がおかしいことに気付く。それでも機動六課の外に対してはまだ言い訳がつく。問題は六課の内部の人間が持つ彼に対する不信感である。今現在彼に対して最も不信を抱いているのはシャリオである。なにせ―
はやて「毎日のようにきかれたからな〜〜」
少し遠くを見るような顔をしながらそう呟く。
デバイスの開発が始まった当初は特に問題はなかった。しかし開発が進むにつれライが持つ技術の高さに疑問を持ったシャリオははやてにきいたのだ。「彼は何者なのか?」と。始めはのらりくらりと誤魔化していたがそろそろそれも限界であるとはやては思っている。初めこそ報告書で上申する程度であったのだが、最近では顔を合わせるたびにきかれるのである。
ちなみにはやては知らないが、シャリオがここまで必死になる理由はライの作業方法にあった。ライがナイトメアに使われている技術は全てのデータが残っていない。これはライが毎回消去しているのではなく、デバイスに直接データを入力しているのである。これはライがこれ以上ナイトメアに関するデータをこの世界に残さないようにするための配慮であった。彼にしてみればバトレーに施された知識を思い出すだけなのでそれは簡単なのである。
その作業を見ていたシャリオはライの知識に驚いてはいたがそれより気になることがあった。それはライが知っている技術である。彼女も一人の技術者であるため自分の知らないものは知りたくなるのだ。一度ライに教えて欲しいと頼んだところライはそれを拒否し、はやてに彼の経歴を聞いて技術の出処を知ろうとしてもそれもできず、最終的に蒼月のデータを覗こうともしたがライの作った強固すぎるセキュリティで断念した。余談だがそのセキュリティは元の世界でライとルルーシュの二人で作ったものでロイドとセシルがそれを解くのに一ヶ月かかるほどのものである。
はやてがライの事についてどうするかを考えていると後ろから足音が聞こえたので振り返る。そこにいた人物を見ると驚くと同時に少し笑いがこぼれた。
ロッサ「オークションはもう始まっていますよ?お嬢さん。」
はやて「お気遣い無く。どこかの査察官と違って忙しい身なものでして。」
ロッサ「そうですか……」
はやて「ふふふ。」
二人は自分たちの芝居じみたやり取りに笑い合う。
ロッサ「久しぶりだね、はやて。」
はやて「ロッサこそ。」
そのどこかの査察官であるロッサははやてと笑い合いながら挨拶を交わす。それから二人がお互いの近況を話しているとはやてのデバイスから緊急通信が入る。それは敵の増援の知らせであった。
後書き
凄い唐突に終わって申し訳ない。(--;)
次回は再び戦闘です。
現時点で伏線を回収しきれるか不安になってきました(((゜Д゜;)))
次回の更新は遅れます。リアルの方でテストやらなにやらがたくさんあるので。
アンケートもどんな意見でも構いませんので書いていただけたらと思います。
ご意見・ご感想をお待ちしております。
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