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やはり俺がink!な彼?と転生するのは間違っているのだろうか

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パラディ島編 第14話 トロスト区襲撃④ ~謎の巨人とアニの正体~

訓練兵たち「「「「うわぁぁぁぁっ!!」」」」

 本部に壁に穴が開き、巨人がこちらを見つめてくる。

 そんな中、訓練兵たちは我先と逃げ出す。

 訓練兵1「早く!!中に・・・。」

 マルコ「よせ!!一斉には出られない!!」

 訓練兵2「ミカサはどこ行ったんだ!!」

 訓練兵3「ミカサはとっくにガス切らして喰われてるよ!!」

 部屋の中は阿鼻叫喚といえるような状態になる。

 ジャン(普通だ・・・。これが現実ってもんだろうな・・・。
     俺は夢や現実でも見ようとしてたのか?
     俺は知ってたはずだ。現実ってやつを。普通に考えれば簡単に分かる。
     こんなでけぇやつには勝てねぇってことぐらい・・・。)

 ジャンは絶望する。この世の理不尽さというものに。

 しかし、

ドコォ

 ジャン「は・・・?」

 横から来た拳にジャンたちを見ていた巨人達は殴り飛ばされた。

 謎の巨人「アアアアァァァァァ!!」

 巨人を殴り飛ばした巨人は他の巨人達に吠える。

 ジャン「は・・・?ありゃあ・・・、なんだ・・・?」

 ジャンが困惑している時、

ガッシャーン

 4人の人影が本部の窓ガラスを蹴破ってきた。

 ジャン「ッ・・・!?ハチマンにミカサ!?
     やっぱり無事だったか!!」

 訓練兵たちは驚く。死んだと思っていたミカサやハチマン達が生きていたから。

 コニー「危ねぇ・・・、もう空だ・・・。
     やったぞ・・・、ギリギリ着いた・・・。」

 コニーたちは息切れている。

 ハチマン「ふぅ・・・。助かった・・・。よし、ミカサ。降ろすぞ。」

 ミカサ「・・・うん。」

 ミカサは少し名残惜しそうに降りる。

 コニー「やったぞ、アルミン!!お前の作戦成功だ!!」

 コニーは興奮した様子でアルミンの背中を叩く。

 アルミン「痛い!!痛い!!」

 痛そうにしているが、あまり止めようとしないのは、本人も嬉しいからだろう。

 コニー「みんな!! あの巨人は巨人を殺しまくる奇行種だ!!
     しかも俺たちには興味がねぇんだってよ!!
     あいつをうまいこと利用できれば俺たちはここから脱出できる!!」

 そうコニーが言うと、周りの訓練兵たちは信じられないと
 言わんばかりの顔をする。

 訓練兵4「巨人を利用する!?」

 ジャン「巨人に助けてもらうだと・・・?そんな夢みてぇな話が・・・。」

 ミカサ「夢じゃない・・・!!
     奇行種でも何でも構わない。ここであの巨人により長く暴れてもらう。
     それが・・・、現実的に私たちが生き残る最善策。」

 ミカサは咄嗟にジャンの言った夢について否定する。

 ヒョウ「そうだぞ。あの巨人は、一体で十数体の巨人を殺せるくらいに強い。
     それに、あいつらにも巨人を倒すように指示してある。
     今のうちにガスを補給した方がいい。」

 ジャン「あいつらって・・・?」

 ヒョウ「おいおい、助けてもらったのにわかんないのか?」

 ジャン「まさか・・・!」

 ヒョウ「あぁ。さっきの魚人の女とスケルトンさ。他にもいる。」

 ジャン「はっ。確かに安心だな・・・。あんだけ戦える力があるなら。」

 ヒョウ「まぁな。ま、そんなことは置いといて、アルミン。
     補給所の巨人を倒す作戦を考えるぞ。」

 アルミン「!うん。」

 ヒョウとアルミンは、補給所の巨人討伐の作戦を考え始める。

 アニ「ハチマン。」

 そんな中、アニはハチマンに話しかける。

 ハチマン「ん?アニか。どうした?」

 アニ「その・・・、ハチマンに話したいことがあるんだけど・・・。」

 ハチマン「別にいいが・・・。」

 アニ「え・・・?」

 アニは、この状況では断られると思っていたので、
 素っ頓狂のような声を出す。

 ハチマン「?どうした?アニ。」

 アニ「!なんでもない。とりあえず、ここでは話せないから、
    ちょっと着いてきて。」

 アニはそう言い、ハチマンの手を引っ張って、別の部屋へ連れて行く。

 ミカサ「・・・。」

 つけてきている者がいることを知らず。

 ---

 アニが連れてきたのは、少し離れたところにある部屋だった。

 ハチマン「それで・・・、どうしたんだ?アニ。こんなとこまで連れて来て。」

 ハチマンがアニに尋ねる。

 アニ「・・・話っていうのはね、私、いや私たちについて。」

 ハチマン「?」

 アニ「私たちは、・・・巨人になれる存在、なの。」

 ハチマン「は・・・?」

 ハチマンには、アニがなにを言ってるのか分からなかった。
 いや、分かりたくなかった。

 彼は、巨人は攻撃してくるのなら敵だと思っている。

 だから、できれば味方になる巨人が居ないかと、考えることも有った。

 しかし、今まで殺してきた巨人や遭遇した巨人は、敵ばかりだった。

 『アニもそうではないか。』そんな考えが浮かんでしまう。

 ハチマン「い、いや、どういうことだよ。」

 アニ「だから、私は巨人になれる存在。つまり、巨人そのものなの。
    でも、私は、ハチマンと一緒にいたいと思ってる。」

 ハチマンはその言葉を聞いて、アニが仲間なのか、敵なのか、
 さらに分からなくなった。

 アニ「私は、ハチマンの、人類の敵だった。でも、私は・・・!」

 アニが途中まで言いかけたとき、

 ハチマン「!?」

 アニ「・・・何のつもり?ミカサ。」

 アニに向かって、ミカサが蹴りを入れた。

 それをアニはすぐに避ける。

 ミカサ「さっきの話を聞いている限り、あなたは敵。違う?」

 ミカサはアニに向かってそう言いながら、殴打や蹴りを繰り出す。

 アニはそれを避けながら、ミカサに言う。

 アニ「そうだった。私は、あんたらの敵だった。
    私は、戦士に成り損ねた。兵士にも成り切れなかった。
    人を散々殺してきた。でも、それでも、私は・・・。」

 アニの言葉を聞いたハチマンが動き出す。

 ハチマン「ミカサ。やめろ。」

 ミカサはハチマンのいう事に驚いた。

 ミカサ「ハチマン!?でも、アニhハチマン「いいから、やめろ。」
 
 ハチマンにそう言われ、攻撃をやめるミカサ。

 ハチマン「アニ。お前は、敵か、味方か、どっちだ?」

 ハチマンはアニにそう問いかける。

 アニ「・・・私は、もう、ハチマンと、戦いたくない。
    ハチマンが、居なくなった時、胸にぽっかり穴が開いたみたいだった。
    あんたが死ぬのは嫌なんだ。
    だから、私は、ハチマンの味方で居たい。」

 ハチマン「・・・そうか。」

 ハチマンはアニの言葉を聞いて、アニの方に近づく。

 そして、アニを抱きしめ、やさしく頭を撫でた。

 アニ「・・・ぇ。」

 ハチマン「・・・がんばったな。もう、いいんだ。もう、人を殺す必要も無い。
      正直に話してくれたんだ。少なくとも、俺は赦す。」

 アニ「ぅ・・・ぁ、ぅぅぅ・・・。」

 アニはハチマンにそう言われ、泣き出す。

 ミカサ「・・・。」

 そんなアニをミカサが羨ましそうに見てくる。

 ハチマン「・・・ミカサ。来い。」

 ミカサは嬉しそうに抱きついてくる。

 そんなミカサを優しく撫でる。

 アニも優しく撫で続ける。

 ハチマン(アニもミカサも愛に飢えてた。
      俺は、それを気付いてた上で無視していたんだ。
      俺にも責任がある。だが、俺が愛を与えることはできない。
     だから、俺は、こいつらが生き残れるよう、できるだけのことをしよう。)

 ハチマンはそうケツイする。

 ・・・してしまった。

 彼はまた、死ねなくなったのだ。

 ---

 アニが泣き止んだ頃。

 アニ「・・・ごめん。汚しちゃって。」

 ハチマン「いや、いい。かわいいアニやミカサが見れたしな。」

 アニ「・・・うぅ・・・。」

 ミカサ「カワイイッテ・・・。」

 ハチマンにかわいいと言われた2人は顔を赤くする。

 ハチマン(ん?何で2人とも顔を赤くして・・・あ。)

 ハチマンは思い出した。今、自分が言ったことを。

 自分にとって、とても恥ずかしいことを言ったことを。

 ハチマン(最悪だ・・・。ベットがあるなら、そこで今すぐ悶えたい。)

 そんなことをハチマンが考えていると、アニが話しかけてきた。

 アニ「ハチマン。その・・・、今まで隠してて、ごめんなさい・・・。」

 ハチマン「!いや、いいんだ。そんな重要なこと、簡単にはいえないしな。」

 アニ「・・・ありがとう。」

 アニはそういって、笑う。

 ハチマン「やっと笑ったな。」

 ミカサ「うん。アニはなかなか笑わなかった。珍しい。」

 ハチマン「いや、ミカサも全然笑わないだろ。」

 ミカサ「そっ、そんなことは・・・、ある。」

 アニ「あるんだ・・・。」

 ハチマン「まぁ、笑っていても、笑って無くても、ミカサはミカサ。
      気にしなくていいだろ。
      さて、別題に入る。ミカサ、ここで話したことは、誰にも言うな。
      アニに、危険が迫る可能性がある。分かったな。」

 ミカサ「うん。分かった。個人的にも、アニには生きてほしい。」

 アニ「!・・・あんたがそんなことを言うなんてね。」

 ミカサ「だって、アニはハチマンにとって大切な存在。
     私は、ハチマンに悲しんでほしくない。だから、
     アニには生きてほしいって思ってる。」

 アニ「そう・・・。」

 ミカサとアニが小声でそう話しているが、ハチマンには、聞こえなかった。

 ヒョウ「ハチマン、ミカサ、アニー!何処にいるー!」

 廊下から、ヒョウが俺たちを呼ぶ声が聞こえる。

 ハチマン「ヒョウが呼んでるみたいだな。いくぞ。」

 2人「「うん。(ああ。)」」

 ハチマンはそう言い、2人と一緒に廊下に出る。

 ヒョウ「!ハチマン!ここに居たか・・・。・・・補給所奪還作戦を始める。
     着いてきてくれ。」

 ヒョウは、ハチマンにそう伝え、リフトのある部屋まで案内する。

 そこでは、アルミンが作戦の内容を説明しようとしていた。

ドォォォ

バァァァァッ

ドンッドンッドンッ

 外の戦闘の衝撃で本部が揺れる。

 サシャや他の訓練兵が不安そうにしている。

 マルコ「だ、大丈夫だ・・・。あの巨人は並の巨人より強い。
     あいつが派手に暴れているうちは・・・、
     この建物も潰されることは無いだろう。」

 マルコはそういい、不安そうな顔をする彼らの不安を少しでも取り除こうとした。

 そんな中、ライナーはコニーに謎の巨人について聞く。

 ライナー「お前ら、あの巨人について、どこまで知っているんだ?」

 コニー「?・・・助かってからでいいだろ。そんなこと」

 ライナー「・・・そうだな・・・。まずは助かってからだな・・・。」

 ライナーの質問が終わった時、ジャンたちが大きな木箱を持って入ってきた。

 ジャン「あったぞ!憲兵団管轄の品だ。埃をかぶっていやがるが・・・。」

 木箱の中には、ライフル型の銃と散弾が入っていた。

 ジャンはそれに持ってきた散弾を装填しながら言う。

 ジャン「弾は本当に散弾でいいのか・・・?そもそもこの鉄砲は・・・、
     巨人相手に役に立つのか・・・?」

 ジャンの尤もな質問にアルミンは顔を俯かせる。

 巨人相手に鉄砲が役に立つかどうかを聞かれたら、
 無いよりはマシと答えるしかない。

 実際、アルミンの返答もそうだった。

 アルミン「無いよりはずっとマシだと思う・・・。
      補給室を占領してる3~4m級が6体のままなら、この程度の火力でも
      6体同時に視覚を奪うことは不可能じゃない。」

 アルミンは、この作戦にまだ現実味があることを伝える。

 アルミン「まず・・・、リフトを使って中央の天井から大勢の人間を投下。
      あの6体が『通常種』であればより大勢の人間がいる方に
      反応するはずだから、中央に引きつけられる。
      次にリフト上の人間が6体の巨人それぞれの顔に向けて同時に発砲。
      視覚を奪う。 そして・・・、次の瞬間すべてが決まる・・・。」

 アルミンは、さっき部屋に入ってきたアニ、ミカサ、ハチマン、ヒョウ。
 元々部屋に居たライナー、ベルトルトの方を見ながら言う。

 アルミン「天井に隠れてた6人が、発砲のタイミングに合わせて
      巨人の急所に切りかかる。 つまり・・・、
      この作戦では一回のみの攻撃に全てを・・・、
      全員の命を懸けることになる。
      6人が6体の巨人を同時に仕留めるための作戦なんだ。
      運動能力的に最も成功率が高そうな6人にやってもらうけど・・・、
      全員の命を背負わせてしまって・・・、その・・・、ごめん。」

 アルミンが作戦を実行する6人を見て、申し訳なさそうに言う。

 アニ「問題ないね。」

 ライナー「誰がやっても失敗すれば全員死ぬ。リスクは同じだ・・・。」

 ハチマン「ヒョウとできるだけのことをしてくれたんだ。
      俺たちは、やれることに全力を尽くすだけだ。」

 ヒョウ「そうだよ。てか、俺には保険があるから。安心しときな。」

 作戦をする4人はそう言い、アルミンを励ます。

 アルミン「でも・・・、僕なんかの案が本当に最善策なんだろうか・・・?」

 しかし、アルミンの不安を取り除くことはできない。

 マルコ「これで行くしかない。時間もないし・・・。
     もう、これ以上の案は出ないよ。
     あとは、ハチマンの言う通り全力を尽くすだけだ!」

 マルコの言葉に頷くハチマンとヒョウ。

 それを見てアルミンは、少し不安が取れたような表情をする。

 ミカサ「大丈夫・・・、自信を持って・・・。
     アルミンには正解を導く力がある。」

 ミカサにそう言われ、首をかしげるアルミン。

 ミカサ「私もエレンもハチマンもヒョウも、以前はその力に救われた。」

 ミカサの言う事に心当たりがないアルミンはミカサに尋ねる。

 アルミン「そんなことが・・・?・・・?いつ?」

 しかし、

 訓練兵5「リフトの用意ができたぞ!!鉄砲もだ!!全て装填した!!」

 ミカサが答える前にリフトが来てしまい、答えを聞くことはできなかった。

 ミカサ「自覚がないだけ・・・。また後で話そう。」

 アルミン「うん・・・。」

 ミカサはそう言い、ブレードを持って、巨人掃討の位置に向かう。

 アルミンも鉄砲を持って、リフトに乗る。

 各自自身の持ち場につく中、巨人掃討組は、

 ミカサ「多分、立体機動装置無しでもいけると思うけど・・・。」

 ヒョウ「大丈夫だ!もし増えていても、誰かが倒すのを失敗したとしても、
     保険があるからな!」

 ハチマン「その保険ってなんだ?」

 ヒョウ「ん?それはな・・・、言わない。」

 ハチマン「いわねぇのかよ・・・。」

 と気楽に持ち場に向かっていた。

 全員が持ち場に着き、リフトが降りて来るのを待っている。

 2,30秒ほど待っていると、リフトが降りてきた。

 それに気付いた巨人達はリフトの方に向かっていく。

 マルコ(大丈夫、数は増えてない。作戦を続行する!)

 訓練兵たちが向かってくる巨人に銃を構える。

 訓練兵6「ひッ!!」

 恐怖のあまり、訓練兵の一人が悲鳴を上げる。

 マルコ「落ち着け・・・。まだ十分に引き付けるんだ!!」

 マルコにそう言われた訓練兵は、なんとか恐怖を押さえ込む。

 マルコ「待て。
     待て。
     待て。
     ―――用意・・・。」

 マルコにそう言われ、指を銃の引き金にかける。

 巨人が銃口の前まで来る。

 マルコ「撃て!!」

 その合図で一斉に銃の引き金を引く訓練兵たち。

 目の前で散弾を撃たれた巨人達は目や顔を撃たれた事で怯む。

 銃声が響いた時、巨人達の背後から項を狙う訓練兵。

ザシュッ

 全員が項を削ぎ、地面に着地した時、巨人達は蒸気を上げて消滅していった。

 ヒョウ「!よし!作戦成功だ!各自、補給作業へ!」

 巨人の死亡を確認したヒョウが他の訓練兵に指示を出す。

 そこからの訓練兵たちの動きは早かった。

 素早くガスを補給。そして、すぐに壁を登って行った。

 ミカサ「!」

 しかし、ミカサは何かに気付いたのか本部の屋根の上に上る。

 アルミン「え!?ミカサ!?」

 屋根に上るミカサをみて、アルミンもそれに続く。

 アルミン「ミカサ・・・、早く逃げないと・・・。」

 ミカサ「あの巨人・・・。」

 ミカサが見ている方向をみると、謎の巨人が他の巨人に喰われている。

 アルミン「うっ!!?」

 立体機動の音がして、後ろをみるとハチマンとヒョウが登ってきた。

 ヒョウ「!?」

 ハチマン「巨人が巨人を喰ってる・・・。」

 その光景を見た2人はひどく驚いていた。

 ヒョウ「Undyne!Kirrer!どこだ!」

 そう言い、ヒョウは辺りを見回す。

 すると、2人の人影が巨人を倒しているのを見つけた。

 ヒョウ「Undyne!Kirrer!無事か!」

 ヒョウは2人に声を掛ける。

 Undyne「ん?・・・!あぁ!大丈夫だ!巨人なんぞ簡単に倒せたぞ!
     まぁ、あまりにも量が多すぎたが。」

 Kirrer!「Undyneの言う通り、量が多かったから結構疲れたよ。
      まぁ、LOVEを上げられたから別にいいけど。」

 ヒョウ「Kirrer、いい加減LOVEを上げるのやめたら?
     他に趣味を見つけよう。さすがにこのまま続けたら、
     鬼〇灯様の負担が増えるから・・・。」

 Kirrer!「もう遅いよ。これは俺の唯一の趣味なんだ。やめる気はない。
      あと、ほお〇ずきさまって誰?」

 ヒョウ「・・・いや、気にするな。」

 ヒョウがUndyneたちと話している間、ミカサやアルミン、ハチマンは
 謎の巨人について話していた。

 アルミン「共食いだ・・・。」

 アルミン(!体を再生できていない・・・?)

 ミカサ「どうにかして、あの巨人の謎を解明できれば・・・、
     この絶望的な状況を打破するきっかけになる
     かもしれないと思ったのに・・・。」

 ミカサのそのつぶやきにいつの間にか登って来ていたライナーがそれに賛同する。

 ライナー「同感だ!あのまま食い尽くされちゃあ何もわからず終いだ!
      あの巨人にこびりついているヤツらを俺たちで排除して・・・、
      取りあえず延命させよう!」

 ライナーがそう言うが、ジャンはそれに反対する。

 ジャン「正気かライナー!!?やっとこの窮地から脱出できるんだぞ!?」

 ベルトルト「たとえばあの巨人が味方になる可能性があるとしたら・・・?
       どんな大砲より強力な武器になると思うよ。」

 ベルトルトはジャンを説得しようとする。

 ジャン「ベルトルト!?まず、あんなのが味方に・・・?
     本気で言ってるのか!?」

 ジャンとライナーたちが言い争いをしていると、新しい足音が聞こえてきた。

 アルミン「あ・・・、あいつは・・・、トーマスを食った奇行種・・・!?」

 アルミンが悔しさを滲ませた声で歯軋りしながら言う。

 謎の巨人はその奇行種を見た途端、咆哮を上げ、自身の体を貪っていた巨人を
 薙ぎ払って、トーマスを喰った奇行種目掛けて走る。

 そして、

 謎の巨人「アアァァァァァッ!!」

 奇行種の項に喰らいつき、そのまま項を噛み切った。

 その様子を見て、全員が絶句する。

 謎の巨人は口に咥えた奇行種の体で周りの巨人を一掃し、もう一度咆哮を上げた。

 謎の巨人「アアァァァァァッ!!」

 ジャン「おい、何を助けるって・・・?」

 ジャンがそう言った途端、謎の巨人は力尽きたかのように地面に倒れた。

 ジャン「さすがに・・・、力尽きたみてぇだな。もういいだろ・・・?
     ずらかるぞ!あんな化け物が味方なわけねぇ。巨人は巨人なんだ。」

 ジャンはそう言い、立体機動で離れようとする。しかし、

 ジャン「・・・?・・・オイ。・・・?」

 誰からも返事がないため、ミカサたちを見ると何かをずっと見ている。

 ミカサたちの視線の先を見てみると、

 ジャン「!」

 倒れこむ巨人の項から人が、死んだはずの”エレン・イェーガー”が出てきた。

 それを見たミカサは一目散に駆け出す。

 ミカサはエレンの元まで行くと、抱きしめ、心臓の音を確認する。

 ちゃんと心臓の音がする。そのことが確認できたミカサはその場で
 泣き出してしまった。

ドシン・・・ドシン・・・

 感動の再会を邪魔するかのように、巨人が複数体現れる。

 ジャン「!チッ!やるぞ!」

 ジャンの合図で一斉に立体機動に移る5人。

 それぞれが巨人を相手に戦っていると、

 ジャン「!巨人が抜けて行ったぞ!誰か援護を!」

 数が多く倒しきれなかった巨人がミカサ達に向かっていく。
 ミカサはエレンを連れて逃げようとするが、熱と巨人の筋肉が腕と一体化して
 取れなくなっているため、苦戦している。

 巨人は一瞬で距離を縮め、ミカサ達を捕食しようと手を伸ばす。

 ミカサはブレードを構える。少しでも時間を稼ぐ気であるようだ。

 ハチマン「!」

 しかし、ハチマンがミカサ達の前に空間移動で移動し、Gasterblasterを撃つ。

 Gasterblasterを撃たれた巨人は、項が消滅したのか蒸気になっていった。

 ハチマン「大丈夫か?早くエレンを安全なところに連れて行くぞ。」

 ハチマンがミカサに言いながら、エレンと巨人との接合部分を切る。

 すると、エレンは無事、巨人の体から脱出する。

 ミカサ「・・・うん。」

 ミカサはエレンを背負って、本部の屋根上辺りに連れて行く。

 ハチマン「ヒョウは・・・。」

 ハチマンはヒョウが何処にいるか探すと、ヒョウは反対側で
 Undyneたちと一緒に巨人と戦っていた。

 ハチマン「大丈夫そうだな・・・。よし。」

 そう言い、ハチマンはジャンたちを捕食しようとしている巨人達を討伐しに行く。

 ---

 ハチマンside

 あの後俺たちは、巨人を討伐しエレンを壁の上まで連れて行った。

 すると、駐屯兵たちにエレンとミカサ、アルミン、ヒョウと一緒に
 水門近くの広いところまで連れて行かれた。

 十中八九エレン関連だろうが。

 ミカサとアルミンが終始不安そうにしている。

 エレンはずっと寝ていて起きない。

 ヒョウは、・・・何か無機質な目だ。まるで、全てを見透かしている。
 そんなことを感じさせる目で俺たちを囲っている駐屯兵とエレンたちを見ている。

 ・・・何故か、俺にはその目を向けられなかったが。

 何もできない状態が続き、相手側の我慢が限界あたりになってきた頃、
 エレンが何か言い始めた。

 エレン「・・・モット・・・イッパイ・・・モット・・・コロシテヤル・・・。」

 アルミン「・・・エレン?」

 ハチマン「・・・おい、エレン。・・・お前、何言ってる・・・?」

 はっきり、エレンがころしてやると言った。

 それが原因で駐屯兵たちに恐怖がさらに伝染する。

 駐屯兵1「おい・・・、聞いたか・・・。」

 駐屯兵2「『ころしてやる』っていったんだ・・・。」

 駐屯兵3「ああ・・・、確かに聞こえた・・・。俺たちのことだ。」

 駐屯兵1「アイツはオレ達を食い殺す気だ・・・。」

 エレンが目覚めたため、駐屯兵たちの隊長らしき人物が問いかける。

 キッツ「イェーガー訓練兵!!意識が戻ったようだな!
     今、貴様らがやっている行為は人類に対する反逆行為だ!!
     貴様らの命の処遇を問わせてもらう!
     下手にごまかしたり、そこから動こうとした場合はそこに
     ―――榴弾をブチ込む。躊躇うつもりもない!」

 エレン「・・・は?」

 エレンには何がなんだか分からないようだ。

 そりゃそうだろう。

 この中で一番どういう事か分かっていないのはエレンだからな。

 まぁ、俺も分からないが。

 キッツ「率直に問う。貴様の正体は何だ?人か?巨人か?」

 その質問でエレンはさっきよりも困惑する。

 そりゃ、いきなり人か巨人かどっちだって聞かれたら、困惑する。

 自分の状況が自分でもまったく分からないのだから尚更だ。

 そんな中でエレンは隊長らしき人

 ・・・長いし、隊長(仮)でいいや。

 隊長(仮)に言う。

 エレン「し・・・、質問の意味が分かりません!」

 そういうエレンに隊長(仮)が我慢の限界を超えたのか、少し上擦った声で言う。

 キッツ「・・・。シラを切る気か!?化け物め!!もう一度やってみろ!!
     貴様を粉々にしてやる!!一瞬だ!!正体を現すヒマなど与えん!!
     大勢の者が見たんだ!!お前が巨人の体内から姿を現す瞬間をな!!
     我々人類はお前のような得体の知れない者をウォール・ローゼ内に
     侵入させてしまっているのだ!!
     たとえ貴様らが王より授けられし訓練兵の1人であっても、
     リスクの早期排除は妥当だ!私は間違っていない!!」

 ・・・はぁ。結局は自分が正しいって信じたいだけのやつかよ・・・。

 ヒョウ「はぁ・・・。」

 ヒョウも同じ気持ちのようである。

 キッツ「今にもウォール・マリアを破壊したあの『鎧の巨人』が
     姿を現すかもしれない!!
     今、我々は人類存亡の危機の現場に居るのだ!!
     もう5年前の失態は許されない!!分かったか!?
     これ以上貴様相手に兵力も時間も割くわけにはいかん!!
     私は貴様らに躊躇なく榴弾をブチ込めるのだ!!」

 こいつ、もうだめだ・・・。

 ハチマン「はぁ。」

 キッツ「!?な、何だ!」

 隊長(仮)は俺のため息(離れてても聞こえるぐらいの大きいため息)に気付いた
 のか、こちらに視線を向けてくる。

 こっからはオレの番だ。

 ・・・ほぼ、八つ当たりみたいなものだけど。

 ・・・だって、こいつの話疲れるし。聞く意味ないし。

 ハチマン「いえー?ただ、そんな風に危惧してんなら、こんな事する意味が
      あるのかと思いましてねぇ。」

 そう言い、俺は隊長(仮)を煽る。

 キッツ「な!?わ、私はこの得体の知れない化け物が人類の敵かどうか
     判断するために今この場で質問しているだけだ!」

 ・・・榴弾で脅しながら質問するのは、もはや尋問と同じだろ。

 ハチマン「警戒するのは仕方ないとしても、あんたらは
      柔軟な思考ってもんができないのか?
      まず、こんなことをする意味も、労力も、時間も、ないはずだ。
      あんたらの言う通り、鎧の巨人が攻めてくるとして、
      今こんなことをしている暇があるのか?ねぇだろ?
      だったら、たとえ不確定要素で規律が乱れるものだとしても、
      目的のために利用することが大切じゃねぇのかよ?」

 キッツ「!だ、だまれぇ!!」

 隊長(仮)はそう言い、砲台に発射指示を送った。

 ハチマン「!?チッ!」

 そのことをすぐ理解した俺はエレンとアルミンの近くに行く。

 ミカサ「エレン!アルミン!上に逃げる!」

 エレン「よせ!オレに構うな!!」

 ミカサとエレンが言い合いをする。

 そんなことをしている間に榴弾が発射される。

 ヒョウ「エレン!お前は、地下室に行かなければいけない!そうだろう!?」

 エレン「!」

 ヒョウが何かいつもと違う声音でエレンに言うと、エレンは何か分かったのか、
 俺達を無理やり近くに引っ張って、思いっきり手を噛んだ。

ガリッ

バアァァァッ

 爆発音と蒸気があたりを包み、俺は何も見えなくなった。

 
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