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ドリトル先生と山椒魚

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第五幕その五

「また動物園に行こうね」
「あちらのオオサンショウウオも観て」
「そうしてだね」
「観察して」
「そして学ぶね」
「うん、それにあちらの方の協力もあるし」
 日笠さんにお願いされたそのことがというのです。
「雌のオオサンショウウオが来て」
「そしてだよね」
「結婚して」
「産卵して子供が出来て飼育もする」
「そうしていくから」
「だからね」
 その為にというのです。
「実は明日来て欲しいって日笠さんからお願いされているし」
「あっ、いいね」
「好都合だよ」
「日笠さんがお願いしてきたなら」
「丁度いいよ」
「だから行かせてもらうよ」
 動物園にというのです。
「そしてだよ」
「オオサンショウウオを観て」
「それで雌のオオサンショウウオを迎える準備もする」
「そうするね」
「これからは」
「そうするよ」
 こう言ってでした。
 先生は紅茶を飲むと論文を書いていきました、今日も学問に励んでいます。
 そして次の日です、先生が皆と一緒に動物園を訪れますと。
 日笠さんは入り口でお迎えして先生に言いました。
「お待ちしていました」
「あれっ、待たれることはないですよ」
 先生は目を輝かせて言う日笠さんに少し驚いて応えました。
「別に」
「それは私がしたいことで」
「だからですか」
「お待ちしていまして」
 そしてというのです。
「これから案内させて頂きます」
「そうなのですか」
「では案内させて頂きます」
 早速という口調の返事でした。
「これから」
「ではお願いします」 
 先生はわからないまま応えました、そしてです。
 オオサンショウウオを観てです、彼にお話を聞きますと。 
「そういえば僕の名前だけれど」
「そう、まだ聞いていなかったね」
 先生も応えます。
「君の名前は何ていうのかな」
「鱒二って言うんだ」
「ああ、井伏鱒二さんだね」
「僕達を小説にした人だね」
「その人から名前を貰ったんだね」
「そうみたいだね」
 こう先生にお話します。
「僕はね」
「そういうことだね」
「それでね」
 鱒二は先生にあらためてお話しました、自分の傍に来た先生に。
「僕今度結婚するけれど」
「うん、そ娘が来るよ」
「その娘がどんな娘か」
 そのことがというのです。
「今凄く不安なんだ」
「そうだね、僕は結婚の経験どころかね」
 先生は笑ってお話しました。
「お付き合いしたこともね」
「ないんだ」
「女の人と。男の人ともね」
「ないんだ」
「お友達は有り難いことも沢山いてくれているけれど」
 それでもというのです。
「けれどね」
「恋人はなんだ」
「そうしたことに縁が全くなくてね」
 笑ってお話します。 
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