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ドリトル先生と山椒魚

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第五幕その一

                第五幕  物語のオオサンショウウオ
 先生は今ご自身の研究室の中で紅茶を飲みながら本を読んでいます、動物の皆はその先生に尋ねました。
「今度は何の本を読んでるの?」
「生物学の本じゃないね」
「日本語の本だね」
「小説?」
「そちらかしら」
「うん、日本の小説だよ」
 先生もその通りだと答えます。
「井伏鱒二の山椒魚だよ」
「前にお話してた」
「その人の代表作で」
「オオサンショウウオを書いているっていう」
「その作品だね」
「そうだよ、この作品はね」 
 実際にというのです。
「描写の大きさ等を見るとね」
「オオサンショウウオなんだ」
「普通の山椒魚でなく」
「そちらの山椒魚だね」
「読んでいると」
「ほぼ確実にそうだね」
 先生は言いました。
「井伏鱒二は広島出身だけれど」
「広島にもオオサンショウウオがいるから」
「井伏さんもオオサンショウウオを知っていて」
「それでだね」
「小説の題材にしたんだね」
「そうだと思うよ、この作品がこの人の事実上のデビュー作で」
 そうであってというのです。
「出世作で代表作の一つでもあるんだ」
「物凄い作品なんだね」
「井伏さんにとって」
「極めて重要な作品だね」
「そうだよ、確かこの作品をね」
 山椒魚を読みつつ言います。
「太宰治も読んで」
「日本文学で滅茶苦茶有名だけれど」
「それこそ日本人で知らない人はいない位」
「走れメロスとか人間失格とか」
「先生もよく知っている人だね」
「太宰を知らない日本人は本当にいないだろうね」 
 先生もこう言います。
「教科書にも出るし」
「絶対にね」
「中学や高校の国語や現国の教科書で」
「小学校の道徳の授業でも出るね」
「走れメロスなんて」
「アニメにもなってるし」
「太宰は芥川龍之介や夏目漱石と並ぶよ」
 こうした文豪の人達と、というのです。
「あまりにも有名な人だよ」
「だから僕達も知ってるよ」
「先生も太宰さんの作品よく読んでるね」
「太宰さんについての論文も書いたね」
「またそうするね」
「太宰の論文はまた書くよ」
 先生もそうすると答えます。
「絶対にね」
「本当に日本文学に名前が残っていて」
「今もよく読まれているから」
「だからだね」
「先生もまた論文を書くね」
「そうするよ」
 先生はまた皆に答えました。
「絶対にね」
「そうするね」
「太宰さんは代表作も多いし」
「沢山の人達が読んでいて」
「そして研究もされているね」
「うん、そしてその太宰が終生お師匠さんとしたのがね」
 まさにとです、先生は言いました。 
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