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仮面ライダー龍騎 夢に向かえ

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第十一章

「だって決まっていたことだから、これも」
「全部決まっていたのね」
「そういうことなの。だ・か・ら」
「行くわね」
 三人のライダーも今鏡の向こうに入った。女はそれを見送り何時の間にか姿を消してしまっていた。

 のどかな道。そこで一人の占い師が店をやっていた。
「ううん」
 道の左右には木々が立ち並び穏やかな日差しが差し込んできている。路を歩く人々の顔は平和そのもので怯えも怖れもない。そんな道の端に彼は店を構えていたのである。
 彼の名は手塚海之。天才占い師として知られその占いは外れたことがないと言われている。若いながらもその名を知られた男である。
「東條悟さんだったね」
 彼は今自分の前に立っている青年に対して声をかけてきた。
「はい、そうです」
 何処かうだつのあがらなさそうな青年はその言葉に答えた。
「願いは何かな」
「僕が人気者になれるかどうかです」
「それを占って欲しいんだね」
「はい」
 東條はその言葉にこくりと頷いた。
「いいでしょうか」
「いいよ。それじゃあ」
 手塚はそれを受けてカードを切りだした。彼が使っているのはトランプであった。他にも色々な占いができるが彼が今選んだのはトランプ占いである。
 暫くカードを切って机の上に数枚のカードを出す。その結果を見ての言葉であった。
「難しいね」
「難しいですか」
 東條は手塚の言葉を聞いて暗い顔を見せてきた。
「うん。ただしね」
「ただし」
「戦えば願いが適うって出ているね。けれどこれは」
 手塚はここで首を傾げさせた。どうやら彼にもわかりかねているようである。
「どういうことなのかな。ちょっと俺にもわからない」
「どういうことですか?」
「いや、この戦いがってことが。戦争でもないし」
「じゃあ一体」
「ううん」
 手塚も東條も首を傾げさせるその時であった。急に車道を走る車の窓から化け物達が姿を現わしてきた。
「うわっ!」
「きゃっ!」
 そして道行く人々に襲い掛かる。当然手塚と東條にも襲い掛かってきた。
「何だ、こいつ等は」
「怪物!?」
 人々は必死に逃げ惑う。手塚も自分の商売道具であるカードを懐に収めて席から立ち上がる。そして東條は彼と一緒に逃げだした。
 だが彼等の前にいきなり一人の騎士が姿を現わした。そして人々に襲い掛かろうとする化け物達の前に立ち塞がり化け物達を倒しはじめた。
「何だあれは」
「仮面ライダーか!?」
 人々はその騎士を見て声をあげた。
「仮面ライダー!?」
「まさかあれが」
 手塚と東條も。彼等はその黄金色の騎士を見てそれが伝説の戦士なのかと考えた。
 そんな時であった。現場に二人の男が駆けてきた。どちらも背広の上にコートを羽織っていた。
「あれですね」
「そうだ」
 一人は一条であった。彼は隣にいる自分より若い男に話していた。
「用意はいいな、須藤君」
「はい」
 その男須藤雅史は彼の言葉に頷いた。彼は刑事で警視庁に戻り特別任務を与えられている一条の補佐役として今ここに来ているのだ。若いながら警視庁きっての敏腕刑事として知られている。とりわけその武道の腕前は折り紙付きであった。
「奴等を倒す」
「わかりました」
 二人は懐から銃を取り出して発砲する。それは化け物達には足止め程度にしかなからなかったがそれでも市民達が逃げる時間を稼いでいたのであった。
 市民達はその間に安全な場所に逃げていく。しかし一人だけその場に残っていた。
 
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