X ーthe another storyー
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第十一話 地夢その十四
「働いてね」
「生きておられますね」
「姉さんの力があレバ歴代首相を襲う危険も」
「凌いできました」
「そうでなかったこともあったけれど」
「あの方ですね」
「ええ、優れた人だったけれどね」
その首相の話もだ、庚は話した。
「原さんは」
「それでもでしたね」
「用心が足りなくて」
「襲われて」
「刺されたわ、夢で見たことを伝えても」
「そうだったので」
「残念なことになったわ、けれど」
それでもとだ、庚は丁に話した。
「あの人はね」
「大抵のことはです」
「身代わりになっても」
「ご自身も傷付かない」
「そうよ。それだけの力がね」
「丁様にはおありですね」
「ええ、けれどね」
それでもと言うのだった。
「何があってもよ」
「ご自身の為には使われず」
「邪なことにもね」
「使われないですね」
「それでもね」
それがというのだ。
「もう一人の姉さんはね」
「火の様であられ」
「姉さんが水ならね」
「しかもその火は」
「魔火よ」
それだというのだ。
「言うならね」
「そうですね」
「だからね」
「何としてもですね」
「消さないとね」
さもないと、というのだ。
「誰も彼も。地球にとってもね」
「悪いことになりますね」
「そうなるから」
だからだというのだ。
「本当にね」
「もう一人の姉さんはね」
「消しますね」
「姉さんの為にもで」
そしてというのだ。
「地球そしてね」
「他の人達の為にも」
「何とかしないといけないけれど」
「その為に誰かを犠牲にすることは」
「どうかと思うわ、そしてね」
それでと言うのだった。
「何とか妹さんを犠牲にせずに済むなら」
「それに越したことはないですか」
「そう思うわ、けれどよね」
「それが運命なので」
「避けられないのね」
「はい」
牙暁は庚に目を閉じて一礼する様に答えた。
「どうしても」
「運命はそうなのね」
「避けられないので」
「残念だわ、けれどね」
「丁様はですね」
「ええ、何としても救い出すわ」
決意を見せて言うのだった、そしてだった。
庚は今は深い眠りに入った、牙暁もそれを受けて遂に彼も深い眠りに入った。運命について悲しいものを感じながら。
第十一話 完
2023・1・8
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