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神々の塔

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第十一話 魔王と呼ばれる者達その十

「そこはな」
「間違えないで」
「その漫画家さんの作品とあと東映のアニメか」
「真田の忍者さんっていうと」
「どちらかやが」
「そのどちらもなのね」
「これがな」
 どうにもというのだ。
「もう忍術やなくて」
「妖術ね」
「雲乗って何でも変身するとなると」 
 そうしたものならというのだ。
「もうほんまにな」
「妖術ね」
「そんなのやからな」
「忍者と妖術使いの区別がついてへんかったのね」
「仙人と超能力者もな」
「それが昔の日本の漫画ね」
「今読むと凄いわ」
 芥川は唸る様にして述べた。
「これ小説もやしな」
「小説ってどんなのや」
 シェリルはその話に眉を顰めさせた。
「妖術使いみたいな忍者が出るんか」
「そんな小説もあったんや」
「その頃はかいな」
「この小説は戦争中やったか」
「二次大戦かいな」
「織田作之助さんの小説や」
「ああ、織田作さんか」
 シェリルは名前を聞いてすぐにその作家の愛称で読んだ、没後八十年近く経てもこの愛称で親しまれている作家だ。
「あの人か」
「あの人純文学って言うけどな」
「そのジャンルでは結構異色やな」
「志賀直哉さんが読んで怒った位な」 
 代表作の一つである世相を読んで不潔だと言ったという。
「まあ純文学ではな」
「異色の人やな」
「それで娯楽小説も書いてて」
 大衆向けの作品もというのだ。
「その中でや」
「忍者もん書いてたんやな」
「ここでもこの人やが」 
 芥川はこう前置きしてシェリルに話した。
「猿飛佐助とかな」
「またその人か」
「何でか妖術使いみたいな忍者になるとな」
 それならというのだ。
「この人になるみたいやな」
「そやねんな」
「十勇士も出て来るしな」
 彼の仲間達もというのだ。
「それで仙人さんに教えられてな」
「忍者やないやろ」
 最早とだ、シェリルは突っ込みを入れた。
「もう」
「それも漢字でツァラトゥストアというな」
「ニーチェのか」
「その名前のな」
「凄い設定やな」
「それで空飛ぶねん」
「ほんま妖術やな」
 シェリルも聞いて思った。
「蝦蟇も使いそうやな」
「まあそれはないけどな」
「蝦蟇はないか」
「それは歌舞伎の忍者や」
 こちらだというのだ。
「児雷也さんとか天竺徳兵衛さんや」
「その人等か」
「それで蝦蟇は使わんが」
「それでもか」
「まあ空を飛んだりな」
「妖術みたいな忍術使ってたか」
「そやった、それで織田作さんは他にもな」 
 芥川はシェリルにさらに話した。 
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