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星河の覇皇

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第八十三部第四章 戦線崩壊その十三

「虫の攻め方をしているのだ」
「一見無秩序であり」
「それでいて敵の弱点を攻めていく」
「そうした攻撃ですね」
「それがあの艦を使った我々の攻撃なのですね」
「そうだ、一人の人間にだ」
 今のティムール軍をそれに例えての話だった。
「多くの虫が群がるとどうなる」
「そういうことですね」
「必死に掃いますが」
「中々掃いきれません」
「噛まれ刺されていき」
「次第にそれが増えていきます」
「急所は特にな、そして次第に体力を失い」
 噛まれ刺されることで傷を負っていってというのだ。
「戦える状態でなくなるな」
「左様ですね」
「そしてですね」
「敵のダメージが限界になった時に」
「時と見れば」
「そこで私は次の手を打つ」
 アッディーンはオムダーマン軍最高司令官の座から言った。
「然るべき時にな」
「そうされますね」
「そしてその手はですね」
「敵が多く噛まれ刺され」
「そして精神的な疲労もかなりの点に達した時に」
「そこで最高の手を打つ」
 そうするというのだ。
「私はな」
「左様ですね」
「それではですね」
「今は時を待っていますね」
「その時を」
「その通りだ、その手を打つ用意は既に整っています」 
 それも万全にというのだ。
「ではな」
「はい、これからは」
「それではですね」
「今は様子を見る」
「そうしますね」
「あの艦と通常艦艇を同時に使うことも出来る」
 それもというのだ。
「この戦術も考えたが」
「それも有効ですね」
「通常艦艇を動かし」
「それと同時にあの艦から奇襲を仕掛け続ける」
「その戦術も考えておられましたね」
「作戦会議でも言われましたね」
「そうだったが」
 それでもというのだ。
「今のティムール軍はあの艦に気付いておらず」
「そして有効な対策も立てていないですね」
「見えない敵に対して」
「左様ですね」
「この次元に存在するものは見えずともだ」
 同じ次元に存在する、それならというのだ。
「その場に存在している、だからだ」
「それ故にですね」
「その存在している場所を攻撃すればいいですね」
「それで対応出来ますね」
「それが可能ですね」
「そうだ、しかしだ」
 それでもというのだ。
「そこに存在しているとわからないならな」
「対応出来ないですね」
「攻撃しようとも思えない」
「それ故にですね」
「今の彼等はあの艦に対応出来ないですね」
「そういうことだ、だからまずはあの艦だけで攻めてだ」
 そうしてというのだ。 
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