仮面ライダー龍騎　夢に向かえ

「それってまさか」
「はい、先程のモンスター達」
　青年の言葉は予想通りであった。佐野にとっては願っていない言葉であった。
「彼等、そして彼等を操る者を倒さなくてはなりません」
「ライダーとしてか」
「そうです」
　高見沢にも答える。
「無論嫌ならいいですが」
「嫌だったらって」
　しかし佐野はその言葉に何か否定的なことを言い出してきた。
「いきなりこうしてあの化け物が出て来るんだろ？じゃあライダーになれる方が安心じゃないか」
「そうだな」
　高見沢がそれに同意して頷いた。
「またこういうことがあるかも知れない。ならばな」
「ただしだよ」
　佐野は青年に顔を向けてきた。
「戦ってもいいけれど条件があるよ」
「条件ですか」
「そうさ。俺は幸せになりたい」
　彼は言った。
「今だって凄い幸せだけれどさ。もっと幸せになりたいんだ。それを適えてくれるならいいよ」
「俺は力だ」
　高見沢の願いはそれであった。
「今よりももっと力が欲しい。いいか」
「ええ。そういうことでしたら」
　青年はそれに応えてきた。
「いいですよ。見返りとして」
「よしっ」
　佐野はその言葉を聞いてガッツポーズをした。
「話がわかるね。何か高見沢さんとえらい違いだよ」
「それは心外だな」
　高見沢はその言葉には顔を顰めさせてきた。
「私を話に出してくるとは」
「まあまあ」
　調子よくそう返す。やはり軽い態度であった。
「面白そうだな」
　北岡もその話を聞いて興味を持ってきていた。
「ちょっといいかな」
　彼も青年に声をかけてきた。
「はい」
「二人にも報酬あるじゃない」
「ええ。では貴方も」
「うん。俺は金だ」
　彼は言う。
「濡れ手に粟ってのが俺の信条でね。何かしてもいいけれど大金が欲しいわけ。わかる？」
「それでは」
「それでいいよ。吾郎ちゃんもそれでいいよね」
「はい、俺は」
　由良も断る理由はなかった。それに答える。
「先生がそれでいいんなら」
「そういうことだね。じゃあこれで決まりだ」
「それでは仮面ライダーゾルダ」
　青年はまずが北岡に声をかけた。
「仮面ライダーベルデ」
　次に高見沢に。
「仮面ライダーインペラー」
　最後に佐野に。それぞれ声をかけたのであった。
「その力、期待させてもらいますよ」
「よっし。けれどさ」
　佐野はここでまた青年に声をかけてきた。
「一つ気になることがあるんだけれど」
「何でしょうか」
「いや、そこの真っ黒なライダーさ」
「はい、彼ですか」
「何者なの？一体」
　そう青年に問う。
「よかったら教えてよ」
「言うならば鏡のライダーです」
「鏡の？」
「そうです。おわかり頂けたでしょうか」
「いや、それだけだとさ」
　彼はまた言う。
「全然わからないよ。御免」
「いずれわかることになるかと」
「いずれって」
　はぐらかされて首を捻ってきた。しかしここで高見沢が言う。
「まあいいじゃないか」
「いいですか」
「今俺達が闘うことの方がな。大事だろう」
「それもそうですか」
「そうだ」
「わかって頂けましたね」
　青年は彼等の言葉を聞いて微笑んだ。そしてさらに言ってきた。
「それではですね」
「ああ」
「今から貴方達に向かってもらいたい場所があります」
「それは一体」
「鏡の向こうです」
　そう言って窓を指差してきた。