大阪幽霊談議
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第一章
大阪幽霊談議
イギリスのロンドンから渡って大阪で落語家をしているジェーン=オリビア落語家としての名前を春雨亭春琴は波がかったブロンドの髪の毛を長く伸ばしツインテールにしている、青い目で小さな顔で唇は赤い。眉は細く背は一六〇センチ位だ。
最初は留学生として日本に来ていたが落語を知り忽ちのうちに魅了され弟子入りし今では人気の女流落語家になっている、いつも落語の勉強に余念がないが。
落語のことを学んでいるうちに日本人の友人でありOLをしている佐藤津々子黒髪を短くしていて童顔で丸い顔の形に一六〇位の背で均整の取れたスタイルの彼女にこんなことを言った。
「日本の幽霊って足ないんやね」
「あんた関西弁上手やね」
「いや、こっちに住んで長いさかい」
その友人にその関西弁で返した。
「それでな」
「関西弁マスターしたんかいな」
「生まれはロンドンやけどな」
笑って話した。
「今では大阪の女やで」
「言うな、それで幽霊の足かいな」
「そや、前から思ってたけどな」
自分達のマンションの部屋で友人に話した、実は友人は大学からの知り合いでルームメイトでもある。ジェーンは英語学校の先生をしながら落語家をしていた時期があった。駆け出しの頃はそうで今は何とか落語家だけでやっていけている。
「日本の幽霊ってな」
「足ないな」
「もう漫画でもな」
そこでもというのだ。
「映画でもアニメでも」
「売憂いは足がない」
「そやろ」
「実際そやろ、生きてる証はな」
友人もまさにと答えた。
「あんよがあるかどうか」
「これやな」
ジェーンは自分の足を今自分達が入っているコタツから出して話した、ジャージに毛糸の靴下といった格好だ。
「これがあるかどないか」
「そや、あると人間でな」
「ないと幽霊やな」
「そや、日本では」
「そやねんな」
「イギリスではどないか知らんが」
「足あるで」
イギリスの幽霊はとだ、セリューは答えた。
「シェークスピアさんの作品でもな」
「ハムレットの王様とかか」
「マクベスでも出るで」
この作品でもというのだ。
「あとイギリス石を投げれば幽霊おるけど」
「そんな幽霊の話多いんかいな」
「幽霊が出るホテルは大人気や」
「祟られへんか?」
「日本の幽霊とちゃうさかい」
そこはというのだ。
「別にな」
「祟られへんねんな」
「特にな」
「そやねんな」
「それでイギリスの幽霊はな」
「足あるねんな」
「そやで、しかし足ないことは頭に入れんとな」
ジェーンは津々子に落語家として話した、そして幽霊の話即ち怪談を今度の席それに自分が行っているユーチューブの動画チャンネルで披露しようと日本の幽霊の話をどんどん勉強していった、するとだった。
あることに気付いてだ、自分が所属している八条芸能のマネージャーに対して密かに話したのだった。
「日本の幽霊って足ないですよね」
「そやけど」
中年の女性のマネージャーはこう返した。
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