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イベリス

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第九十一話 合宿打ち上げその十二

「王道もね」
「いいのね」
「いいっていうか」
 咲は考える顔になって話した。
「王道が何故残っているか」
「それがなのね」
「そう、いいからね」
 その王道がというのだ。
「残っているのよ」
「そういうことね」
「そんなことも最近読んだのよ」
「そうなの、咲っちは」
「そうなの、私もちょっと最近までね」
 中学生までだ、咲は自分のその頃のことを振り返ってそのうえでクラスメイトに対して話したのだった。
「誰が何でも書く様な作品は駄目って思ってたけれど」
「それは違うのね」
「そうだってね」
 その様にというのだ。
「思ったの、シェークスピアを読んでたら」
「シェークスピアね」
「面白いのよ、これが」
「そんなに面白いの」
「マクベスとかオセローとかね」
「そうした作品読んでなの」
「わかったのよ、王道と言われても」
 それでもというのだ。
「面白いの、シェークスピアの作品ってありきたりでしょ」
「ロミオとジュリエットとか」
「皆真似するけれど」
 多くの創作者達がというのだ。
「それがどうしてか」
「やっぱり面白いからよね」
「そのことからね」
「王道、ありきたりのストーリーはいいのね」
「そのことがわかってきたわ」
 まさにというのだ。
「本当にね」
「そうなのね、王道よしなのね」
「そう思うわ、だからね」
「ありきたりなストーリーこそがなのね」
「またよしってね」
 その様にというのだ。
「思いはじめてきたわ」
「そうなのね」
「ええ、面白い作品はね」
「王道というか基本?」
「それを踏まえているから」
 だからだというのだ。
「面白いのよ」
「誰も何もしないことをしても」
「それでもなのね」
「それが面白いか、変なお話を書いても」 
 それでもというのだ。
「面白いか」
「そうとも限らないのね」
「そのことわかってきたわ、だからネットの小説や漫画でもね」
 こちらでもというのだ。
「変に誰もしない様な作品にするって考えて」
「変な展開とかキャラにしたらなのね」
「相当力のある人ならいいけれど」
「そうでないとなのね」
「とんでもないことになるってね」
「咲っちは思うのね」
「そう思ってきたわ」
 咲はクラスメイトに話した。
「やっぱり着本ね」
「それね」
「それがないと駄目ね」 
 こう話すのだった、咲は合宿が終わった日にこう話した、そして夕方になると彼女と別れて家に帰ったのだった。


第九十一話   完


                   2022・12・15 
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