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神々の塔

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第十話 英雄もまたその二

「ペリの方々と一緒にいます」
「そちらの世界から来ました」
「そうなんやな、しかしな」
 中里は彼等の挨拶を受けて言った。
「よくドワーフとエルフって仲悪いっていうけどな」
「こっちの世界ではないわね」
 アレンカールも言った。
「特に」
「そやな」
「それでエルフとダークエルフもね」
「あっ、妻です」
 道具屋のエルフの初老の男がこう言うとだった。
 ダークエルフの中年女が出て来た、そのうえで言うのだった。
「結婚して二十年仲良くしています」
「そうそう、こっちの世界では別になのよね」
 アレンカールはその道具屋の女房を見てさらに話した。
「種族によって仲悪くないのよね」
「そうした世界やな」
「どの種族も寿命大体同じでね」
「不老不死とかないしな」
 中里はさらに言った。
「仲が悪いとかな」
「そういうのないわね」
「ほんまにな、そうした世界やな」
「そういうことやね」
「他の世界のことは知らないですが」
 ダークエルフの女房も言ってきた、艶やかな声である。
「私達はそうですね」
「やっぱりそうなのね」
「寿命はありますし」
「種族によってやな」
「仲悪くはないです」
「そういえばオークとかゴブリンってゲームやとやられ役やな」
 羅は考えつつ言った。
「コボルトとかオーガとかも」
「そうよね」
 アレンカールは羅に応えた。
「トロールにしても」
「そうやけどな」
「それがね」
「こっちの世界やとな」
「種族にとって悪とは限らないわね」
「前から思ってたけどな」
 羅は考える顔で話した。
「そうした世界やな」
「そうみたいね」
「あの、種族で善悪はです」
 ドワーフの宿屋の親父が言ってきた、濃い茶色の髭が顔の下半分を覆っていてそれが実にドワーフらしい。
「決まるのでしょうか」
「こっちの創作の世界やとそうした場合があるねん」
 メルヴィルが答えた。
「オークとかな」
「そうなのですか」
「天使は問答無用でええ役でな」
「種族によってそれは」
「そうした作品もあるねん、けどな」
「少なくともこの世界ではです」
「神霊の世界も含めてやな」 
 宿屋の親父に述べた。
「そうしたことはやな」
「ありません」
「そやねんな」
「はい、善悪はです」
 それはというと。
「あくまで、です」
「それぞれのモン次第やな」
「どんな種族でも善人も悪人もいまして」
「種族同士仲悪いとかもやな」
「ありません」
 宿屋の親父はメルヴィルに答えた。
「これといって」
「まあ同じか近い種族やないと子供は出来んけどな」
 芥川はこのことも話した。
「産まれた子供はこの世界やとどっちかの種族になるし」
「実は息子が二人いますが」
 エルフの道具屋の親父が話した。 
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