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短い足で

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第二章

「意味がないだろ」
「そうだよな」
「トイプードルは取って来るのが仕事だけれどな」
 飼い主が撃ち落とした水鳥をというのだ。
「それでもな」
「ちゃんとか」
「そうだ、足も速くないとな」
「務まらないか」
「そういうことだ」
「俺もわかったよ」
 洋介もここで頷いた。
「だからふわりも足が速いんだな」
「ああ、これでわかったな」
「俺もな、しかしな」
 洋介はこうも言った。
「ふわりの足を見てるとな」
「短いからか」
「愛玩用でそうなっていったんだろ」
「だから小さくなってな」
 父もそれはと答えた。
「足も短い方が可愛いって思われてだ」
「ぬいぐるみたいにか」
「そうなっていったんだ」
「そうだよな」
「けれどな」
「やっぱり足は四本でか」
「狩猟犬だからな」
 それ故にというのだ。
「足は速いんだ」
「そうだな、じゃあふわり今度またドッグレース場に行くか」
 洋介は父とのやり取りの後でふわりに笑顔で声をかけた。
「それで走るか」
「ワン」
 ふわりは洋介に鳴いて応えた、そして。
 尻尾も振った、洋介はそんな彼女を見て笑顔で言った。
「走ること自体が好きみたいだな、ふわり」
「身体を動かせるならな」
 文太もそれはと応えた。
「そうだよ」
「そうだよな、じゃあ実際にな」
「ドッグレース場に連れて行くんだな」
「そうしてくるな」
 笑顔で言ってだった。 
 洋介は今もふわりと一緒に遊んだ、ふわりはその間ずっと動いていたが動きは俊敏だった。足が短くともそうだった。


短い足で   完


                   2023・3・24 
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