恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百三十五話 十三、知恵を出すのことその二
「妖気が確かに凄いから」
「あの妖気ならばだ」
どうかとだ。守矢がここで述べた。
「あの陣にどれだけの兵が入ろうともだ」
「中に入ったらすぐに」
「瞬時に滅されるだろう」
そうなるとだ。守矢はその十絶陣を見ながら楓に述べた。
「まさにな。一瞬でだ」
「例えどの様な力を持っていてもね」
そうなるとだ。月も述べた。
「あの陣は容易には陥ちないわ」
「だからこそ人形をまず陣の中に入れて」
楓は徐庶のその戦術も述べた。
「そしてなんだ」
「そうだ。まずは敵陣を見る」
「一体どういったものかね。これは昨日お話にあった通りよ」
「敵を知り己を知らばだね」
楓はここで兵法も口にした。
「それは敵陣も同じだね」
「そういうことだ。どの様なものでも」
例えそれが妖術によるものだとしてもだ。守矢は言うのだった。強い顔で。
「弱みのないものはない」
「そうだね。だからこそ」
「まずは知ることだ」
敵陣をだ。それをだというのだ。
「全てはそれからだ」
「そしてそのうえで」
月は敵陣の中央を見ていた。そしてそこにいる者達をだ。
「刹那を封じなければならないわ」
「姉さん、そのことだけれど」
「お父様のことね」
「うん、父さんもこの世界に来ていて」
そしてだというのだ。
「姉さんを今度こそは」
「私は。それでも」
月は楓の言葉にだ。顔を俯けさせてだ。
そのうえでだ。こう言うのだった。
「刹那を」
「月、父上には父上のお考えがあるのだ」
だがその月にだ。守矢がだった。
その強い声でだ。こう告げたのだった。
「そしてそれが例え父上を滅ぼすものであっても」
「けれどそれは」
「私とて父上が滅びることは耐えられない」
子としての言葉だった。しかしだ。
それでもだとだ。彼は言ったのだった。
「だが。それでもだ」
「それでもなのね」
「父上は御前を犠牲にしたくないのだ」
言うのはこのことだった。黄龍の月を想う気持ちを理解しているからだ。だからこそ言ったのだ。そしてそのうえでだ。彼は妹にさらに言うのだった。
「だからだ。御前はだ」
「お父様の御心を」
「受け取るのだ。そしてだ」
「生きる・・・・・・」
「死ぬな」
これ以上にない確かな声での言葉だった。
「決してだ。いいな」
「巫女であってもそれでも」
「巫女であろうとも犠牲になっていい道理はない」
守矢は顔を上げて述べた。
「それはナコルルも同じだがな」
「あの娘もですか」
「この戦いは。おそらく死ぬ為の戦いではない」
「生きる為の戦いですか」
「そうだ。生きる為の戦いだ」
まさにだ。そうだというのだ。
「それがこの世界での戦いなのだ」
「そういうことだよな」
ここで出て来たのは漂だった。飄々とした様子だがそれでも確かな声だった。
彼もだ。その人形達の動きを見ながらだ。月に話すのだった。
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