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星河の覇皇

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第八十三部第三章 今だ目覚めずその六十三

「特に予算だ」
「それですね」
「あの様な艦艇を量産するなぞ」
「我々には出来ません」
「それこそ絶対に」
「何があろうとも」
「だからだ」
 予算がない、それでというのだ。
「出来ることではないしな」
「我々は我々ですね」
「その立場で戦っていきますね」
「そうしていきますね」
「そうだ、そしてだ」
 それにとだ、タンホイザーは話した。
「通常艦艇でだ」
「戦っていきますね」
「連合軍にも」
「ああした巨大な艦艇は開発も運用もせず」
「そうしていきますね」
「だがあの兵器はな」
 そちらはというのだ。
「何であるのかを確かに突き止めてな」
「そうしてですね」
「我々も、ですね」
「開発してですね」
「製造から実用化に持って行く」
「そうしていきますね」
「そうしていく、オムダーマン軍に後れを取り」
 タンホイザーはこのことは無表情に述べたがその次の言葉は苦い顔になってそのうえで周りに述べた。
「連合軍にもだ」
「そちらは若しも、ですね」
「若しもそうであるなら」
「それならですね」
「我々もだ」
 エウロパもというのだ。
「是非だ」
「あの兵器を手に入れる」
「我々の手で」
「そうしていきますか」
「他国が持ててだ」
 そしてというのだ。
「自分達が持てない」
「そうしたことはないですね」
「同じ人間なら」
「それはないですね」
「我々はかつて過ちを犯した」
 それは何かもだ、タンホイザーは話した。
「帝国主義時代にな」
「あの頃にですか」
「我々の絶頂期ですね」
「欧州が世界を正しく導いていた時代ですね」
「あの時代我々は技術を独占していた」
 産業革命で得た機械の技術、それをというのだ。
「それは黄色人種や黒人には持てないと思っていたな」
「理解出来ないとも思っていました」
「使うことも」
「その全てが出来ない」
「我々だけが出来ると考えていました」
「だが今はだ」
 その頃から千数百年を経た今はというのだ。
「彼等は我々の数百年先を進んでいるな」
「それだけの技術を持っていますね」
「今や」
「第二次世界大戦後からそれが変わり」
「植民地が次々と独立し」
 その欧州各国からだ、まずは東南アジア諸国がそうなりそしてアフリカとなった。二十世紀後半の大きな出来事だった。 
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