個人で八千万借りると
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第二章
「出来ないわよ」
「銀行って個人にそうそうそこまで貸してくれないわね」
「彼氏さんから聞いたら?何で借金したか」
「それ次第ね」
「そう、ご実家のことかも知れないし」
「そうね、聞いてみるわ」
芳美は夏奈のアドバイスに頷いてだった、会社から帰ると早速融に携帯で電話をして何故そこまで借金があるのか尋ねた、すると。
「実は僕家を継ぐことになって」
「それでなの」
「実家の設備が色々旧式化しててね」
それでというのだ。
「船も買い換えたいし」
「それでなのね」
「そうなんだ、それでね」
「八千万借りるのね」
「そうなんだ、それでだよ」
「そうなのね、いきなり八千万って聞いて驚いて」
芳美も正直に話した。
「今日友達と話したけれど個人で銀行からだし」
「八条銀行だから」
融は借りた銀行の名前も出した。
「安心していいよ」
「ああ、あそこね」
「うん、うちは八条水産の下請けだし」
「そのこともあってなのね」
「借りてるよ、疚しい借金じゃないから」
「そのことはっきりわかったわ」
芳美は微笑んで応えた。
「借金っていうとね」
「身構えるよね」
「ええ、けれどそれならね」
「よかったね」
「ほっとしているわ」
「それはよかったよ、それでプロポーズの返事は」
「今度直接会ってね」
芳美は笑顔でこう言った、そしてだった。
次に会った時に笑顔で自分でよかったらと返事をした、こうして二人は婚約したが。
その後でだ、芳美は夏奈に話した。
「借金も内容よね」
「ちゃんとしたものならね」
「いいわね」
「それなら借金も財産のうちよ」
「そうよね」
「闇金からのは駄目でも」
それでもというのだ。
「信頼出来るものならね」
「ええ、いいわね。それじゃあ結婚式の準備とか彼の実家のこととかで」
「これから忙しいわね」
「そっち頑張るわね」
友人に笑顔でこう言ってだった。
芳美は会社を寿退社し結婚式の後で実家の仕事を継いだ融との生活に入った、八千万の借金は何なく完済され安定した事業を行えた。だが芳美にとってこの八千万の話は大きな教訓となった。借金も内容だということを知れたので。
個人でも八千万借りると 完
2023・3・17
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