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星河の覇皇

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第八十三部第三章 今だ目覚めずその五十二

「彼だけは違ったでしょうね」
「ワインを口にしなかった」
「チョコレートを口にしていたでしょう」
 ヒトラーはこちらを好んだという、ケーキ等甘いものを好んでいた。
「そしてケーキですね」
「そうしたものもいいですね」
「では我々もケーキを食べますか」
「そうしますか」
「ワインは程々にして」 
 そうしてというのだ。
「ケーキを出してもらい」
「紅茶やコーヒーにしますか」
「そういったものを飲みつつ話しますか」
「そうしますか」
「ここは」
 そうしたことを話してだった、彼等は実際にワインを程々にし。
 そのうえでそれぞれの従兵達にケーキや飲みものを出させた、そうしてそういったものを口にしつつ観戦を続けたが。
 オムダーマン軍がまだ動かないのを見てまた言い合った。
「さて、何時動くか」
「何時でも動ける布陣ですが」
「まだ動きはないですね」
「動けばその時は大きいですが」
「果たして何時動くか」
「それが問題ですね」
 彼等は観戦を続けた、だが彼等にはオムダーマン軍が何時動くかはわからなかった。だがその話をオリンポスで聞いてだった。
 タンホイザーはサハラの戦場から遠く離れたその場で宇宙艦隊司令部の面々に話した。
「オムダーマン軍はもう動いている」
「既にですか」
「オムダーマン軍は動いていますか」
「そうなのですか」
「そうだ、彼等の秘密の戦力が動いている」
 こう言うのだった。
「もうな」
「ではあの魚雷ですか」
「姿を見せず魚雷だけがティムール軍を攻撃しますか」
「五日前国境で彼等を破った様に」
「あの魚雷が動いていますか」
「戦力は見せるだけではない」
 タンホイザーは淡々とした声で述べた。
「見せないものだ」
「戦力である」
「だからですか」
「オムダーマン軍はその魚雷を放つ兵器を使い」
「既に動いている」
「そうなのですか」
「そうだ、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「ティムール軍を攻撃する」
「そうしますか」
「ではオムダーマン軍は見せていないだけで」
「既に動いている」
「そうしていますか」
「彼等の攻撃は間もなくはじまる」
 そうなるというのだ。
「そうしてだ」
「ティムール軍を攻撃し」
「そして破る」
「そうするというのですね」
「そうなる、おそらく極めて高度な隠密性を持ち」 
 タンホイザーはさらに話した。
「ティムール軍のレーダーに一切探知されない」
「そうした兵器ですか」
「オムダーマン軍が使用している兵器は」
「そうなのですか」
「ステルス性能でもだ」
 この能力でもというのだ、艦艇の。
「他の能力、防御力や機動力を犠牲にしててでもだ」
「隠密性ですか」
「それに特化して」
「そうして進み攻撃する」
「そうした兵器ですか」
「攻撃能力もあるが」
 それでもというのだ。 
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