イベリス
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第八十九話 遊ぶことその五
「まさにね」
「そうですね」
「咲っちはそれがわかっているから」
だからだというのだ。
「いいと思うわ」
「いいんですか」
「人間としてね」
そのレベルからというのだ。
「そう思うわ」
「本当にそうですよね」
「覚醒剤止めますか」
咲からボールを受け取りつつ彼女に話した。
「人間止めますかよ」
「麻薬については」
「本当にね」
まさにというのだ。
「そうしたものよ」
「いや、身体ボロボロになって頭もおかしくなって」
咲は覚醒剤中毒に陥った時の症状から話した。
「結構おトイレも緩くなるんですよね」
「括約筋が緩んでね」
先輩もそれはと答えた。
「そうなるから」
「それも嫌ですね」
「だから寝る時も」
そうした時もというのだ。
「ビニールを下に敷いて」
「どうなってもいい様にですね」
「しないとね」
覚醒剤中毒に陥ればというのだ。
「駄目になるのよ」
「それも嫌ですね」
「そうでしょ」
「本当に」
咲もそれはと答えた。
「思いました」
「このお話も聞いて」
「そうなりました」
実際にとだ、咲は答えた。
「私も」
「私もよ」
先輩も答えた。
「そこまでなるとかね」
「絶対にやりたくなりますね」
「あのね、おトイレに普通に行けるってね」
先輩は強い声で言い切った。
「このことだけでも幸せよ」
「そこで用が足せたら」
「それでね」
まさにというのだ。
「全く違うわよ」
「おトイレって何でもないですけれどね」
「ええ、普通にしてるものでしょ」
「そうですね」
「けれどそれがね」
「覚醒剤に手を出したら」
「もう緩くなって」
先輩はオブラートに包んで話した。
「それでよ」
「おトイレもですね」
「まともに出来なくなって」
「ベッドがビニールのマットとかですね」
「ええ、それだと簡単に掃除出来るから」
その為にというのだ。
「ビニールのシート敷いたりね」
「もう無茶苦茶ですね」
「頭もおかしくなってね」
「おトイレもまともに出来なくなるんですね」
「それでどんどんボロボロになって」
そうしてというのだ。
「最後はね」
「廃人になってですね」
「火葬しても骨も残らないのよ」
骨までボロボロになっているからだ、実際に重度の覚醒剤中毒の患者の遺体を火葬するとそうなる。
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