ハッピークローバー
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第六十八話 夏の服なのでその四
「怪我をしないことが」
「大事よね」
「幾ら凄い選手でも」
その能力がというのだ。
「しょっちゅう怪我していたらね」
「充分に活躍出来ないわね」
「どうしてもね」
二人で話した、そしてだった。
理虹はここでだ、この人の名前を出した。
「田淵さんなんてね」
「ああ、阪神のスター選手だった」
「そう、ホームランアーチストって呼ばれた」
アメリカから来た娘に話した。
「あの人は能力はね」
「物凄かったのよね」
「天性の野球センスとね」
そしてというのだ。
「頑丈な身体をね」
「併せ持っていたのね」
「しかもイケメンっていう」
「あの人確かにね」
アメリカから来た娘も田淵の顔立ちのことを言われて頷いた。
「お顔立ち整ってるわね」
「そうでしょ、もうね」
それこそというのだ。
「天から二物も三物も与えられた」
「そんな人だったの」
「けれどね」
そうした野球人だったがというのだ。
「毎年みたいに怪我してたのよ」
「そうだったのね」
「もう怪我しない年なんてね」
それこそというのだ。
「滅多にない」
「そんな人だったの」
「どれだけ怪我しても活躍し続けたけれど」
それでもというのだ。
「あの人引退までね」
「ずっと怪我してたの」
「若しあの人が怪我しない人だったら」
どうだったかとだ、理虹は話した。
「名球会もね」
「二千本安打ね」
「いけたかもね」
「というかあの人名球会入ってなかったのね」
「そうなの、三振少なくて長打率高かったけれど」
それでもというのだ。
「これがね」
「二千本安打いってなかったの」
「そうなのよ、意外でしょ」
「私いってたと思ってたわ」
アメリカから来た娘はそれはと応えた、兎角活躍してきた選手だったのでそう思っていたのである。
「田淵さんは」
「そう思ってる人多いみたいだけれど」
「その実はなの」
「十六年選手やってたけれど」
「怪我が多くて」
「そのせいかね」
理虹は残念に思いつつ話した。
「二千本安打は到達していないの」
「王さん長嶋さんはいってるわよね」
「お二人共ね」
「そうなのね」
「お二人に対抗出来る人だったけれど」
だから巨人も獲得しようとした、背番号は二を用意していたという。
「怪我がね」
「多過ぎたのね」
「そうなの、デッドボールでね」
それを受けてというのだ。
「死にかけたことあったし」
「確か広島の外古場さんに受けて」
「そう、頭にね」
「大変だったのよね」
「ボール怖がらないでね」
そのうえであったという。
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