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星河の覇皇

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第八十三部第三章 今だ目覚めずその三十三

「最早だ、シャイターン主席が復帰してもな」
「勝利は掴めないですね」
「ティムール軍の損害が開戦前の戦力の三割に達すれば」
「その時は」
「最早だ」
 まさにというのだ。
「ティムール軍は我々に対する戦力を失ってだ」
「後は、ですね」
「サマルカンドでの戦いとなる」
「そうなりますね」
「それでもシャイターン主席が直率する軍は強いが」
 それでもというのだ。
「しかしだ」
「しかし?」
「しかしとは」
「何かありますか」
「あくまで主席が率いる軍だけのことだ」
 軍司令や参謀達にさらに話した。
「他の軍はだ」
「他の指揮官が率いる軍はですか」
「指揮能力が落ちる」
「そうなのですね」
「ナポレオン=ボナパルトは強かった」
 十九世紀初頭に欧州を席捲した男だ、革命の時に頭角を表し最後にはフランス皇帝にまでなっている。
「だがナポレオンに勝てずともだ」
「他の将軍達には勝てましたね」
「ダヴーの様な人物でない限り」
「それが可能でしたね」
「少なくとも分のいい戦いが出来た」
 ナポレオンには敗れてもというのだ。
「それが出来た」
「それではですか」
「第二次防衛ラインを突破してからも」
「それからもですね」
「シャイターン主席が復帰してからも」
「閣下は戦い方をお考えですか」
「シャイターン主席は私が戦う」
 その彼に対してはというのだ。
「主席と互角かやや上の戦力で戦えるのは私だけだ」
「だからですね」
「閣下はですね」
「ご自身が主席と戦い」
「我等はですね」
「ティムール軍の他の軍と戦いだ」
 そしてというのだ。
「そのうえでだ」
「我々は、ですね」
「ティムール軍を破り」
「そしてですね」
「そのうえで、ですね」
「ティムール軍の戦力を奪い」 
 アッディーンはさらに話した。
「戦略上の要地もだ」
「手に入れていきますか」
「そしてティムールを追い詰めていく」
「そのうえで、ですね」
「最後はですね」
「サマルカンド星系ですね」
「あの星系まで進む」
 そうするというのだ。
「その時までにティムール軍の戦力を徹底的に減らし」
「国力もですね」
「そちらもですね」
「その領土を占領していきな」
 そうして自国の勢力圏に置いて収入を断ってというのだ。
「そしてだ」
「そして、ですね」
「敵をサマルカンド星系だけにして」
「そのうえで、ですね」
「あの星系で最後の戦いですね」
「首都とはよく言ったものだ」
 アッディーンは司令官や参謀達にこうも言った。 
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