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八条学園騒動記

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第六百八十八話 オーストラリア人としてその八

「二千勝っていうのも」
「どうかなのね」
「当時は試合が多かったとしても」
 それでもというのだ。
「流石にね」
「二千勝はね」
「有り得ないんじゃないかな」
 こう言うのだった。
「やっぱり」
「そうよね」
「ただ五十九歳までね」
 その年齢までというのだ。
「投げたのはね」
「事実なの」
「そうみたいだよ」
「昔はそうなの」
「昔は今よりアスリートの人達の選手寿命は短くてね」
「四十まで現役の人とかね」
 ケイトが言ってきた。
「大抵のスポーツで」
「そうはいなかったよ」
「そうだったわね」
「科学も医学も進歩していなくてね」
 スポーツもというのだ。
「選手の寿命もだよ」
「短くて」
「それでね」
 その為にというのだ。
「大体野球選手だと三十五歳辺りから衰えてきて」
「早いわね」
 ケイトはこの時代の常識から答えた。
「まだまだこれからじゃない」
「今だとね」
「それが昔ななのね」
「三十五歳辺りからね」
「衰えていって」
「四十まで出来る人は」
「ごく一部で」
 兄に対して述べた。
「五十九歳までなんて」
「常識外れだったんだ」
「それがサチェル=ペイジって人ね」
「本当に一説だけれどね」
「その時まで投げていたのね」
「それで二千勝もね」
「したのね、まあね」
 ケイトは首を傾げさせつつ言った。
「流石に二千勝はね」
「ないよね」
「四十年投げても」
 それでもというのだ。
「一シーズンで五十勝しないとね」
「無理だね」
「六百勝でもよ」
「超人って言われるし」
「それだとね」
 それこそとだ、兄に話した。
「事実とはね」
「思えないね」
「ええ」
 その通りだとだ、ケイトは答えた。そのうえでこうも言った。
「与太話でしょ」
「さっき僕が言った」
「そうでしょ」
 こう言うのだった。
「絶対に」
「そうだね、ベーブ=ルースだってだよ」
 ベンはまたこの野球選手の名前を出した、この時代でも偉大な選手とされ野球の神様とまで言われている。
「ずっと年間六十本打ったとか」
「ホームランをね」
「出来なかったから」
「それじゃあね」
「二千勝はないでしょ」
 ケイトはまたこう言った。 
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