ハッピークローバー
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第六十七話 阪神の勝利を聞いてその七
「けれどね」
「それでもなの」
「紅楼夢って兎に角長いし」
このことでも有名な作品である。
「悲しい結末だし」
「そういうの好きじゃないの」
「そう、だからね」
「あんたは読んでないの」
「武侠ものでもハッピーエンドでないと」
「あんたは駄目なの」
「そうなのよ」
こうと富美子に話した。
「私はね」
「それで紅楼夢も駄目なのね」
「いや、普通に主人公とヒロインが結ばれて」
そうなってというのだ。
「お家も栄えてね」
「万々歳ね」
「それで終わってね」
「紅楼夢もそうだったら」
「読んだけれど」
それがというのだ。
「バッドエンドだから、あと三国志もね」
「ああ、あれね」
「知ってるでしょ、結末」
「司馬懿の子孫が統一するのよね」
「三国の何処でもなくてね」
「それでその司馬懿の子孫の国の」
富美子は日本酒を飲みつつ嫌そうに話した。
「晋もね」
「その後皇帝が遊び惚けてね」
「司馬炎よね」
「その後の皇帝の代で国が滅茶苦茶乱れて」
賈南風の専横の後諸王が入り乱れての内乱となったのだ、八王の乱という教科書にも出て来る大乱である。
「もうね」
「滅茶苦茶になるのよね」
「いや、我が国の歴史でもね」
他ならぬ中国人の言葉だった。
「もうね」
「最悪の展開よね」
「折角国が一つになってね」
「平和になると思ったら」
「馬鹿みたいによ」
富美子に烏賊の天麩羅を食べつつ忌々し気に話した。
「身内で殺し合いやってね」
「軍隊も動かしてよね」
「ここからしっかり政治をして」
「平和にする時に」
「肝心の皇帝が遊び惚けて」
司馬炎が後宮に入り浸った女色に耽ったのである、極めて巨大な後宮をもうけてそこでそうしたのである。
「その後でね」
「そんなことになって」
「折角統一したのに」
「全部元の木阿弥ね」
「というかよ」
富美子に飲みながら忌々し気のまま話した。
「もっとね」
「酷いことになったのね」
「三国時代より遥かにね」
「あの時も酷かったわよね」
「いや、桁違うから」
戦乱の度合いがというのだ。
「何だかんだで曹操さん政治よかったし」
「政治家としても優れていたのよね」
「袁紹さんもそうだったしね」
曹操と覇権を争った彼もというのだ。
「ずっと後でもその統治が懐かしいって言われる位に」
「袁紹さんもよかったのね」
「董卓さんもいたけれど」
暴虐の限りを尽くしたと言われる彼もだ。
「劉禅さんだって実はね」
「あの人駄目って言われても」
「知ってるでしょ、確かにぱっとしないけれど」
「まあ普通位よね」
「孔明さん達信頼して政治任せてたから」
劉禅はそうしたタイプの皇帝であったのだ、優れた人物を信頼して彼等に政治なりを任せていたのである。
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