Fate/WizarDragonknight
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カメンライド 2
前書き
今回は、前回とは打って変わって、特に法則性はありません!
「可奈美ちゃん、大丈夫?」
「う、うん……」
頷いた可奈美を下がらせ、ハルトはマゼンタの戦士を見つめる。
「何なんだ、アイツは……?」
「確か、あのベルトがディケイドとか言ってたけど……?」
「ディケイド?」
その名を聞いて、ハルトは顔を強張らせた。
「……アイツが……世界の破壊者?」
「ハルト? 知ってるのか?」
「……あれ? どこで聞いたんだっけ……?」
ハルトは、頭に覚えのある記憶を辿ろうとする。
___ディケイド。いずれ、この世界にも現れる___
この記憶は……
だが、思い出すよりも先に、ディケイドがカードをベルトに装填し、そのガイダンスボイスが鳴り響く。ハルトの物思いは、それによって完全に遮断された。
『カメンライド シャナ』
それは、炎の髪を巻きちらす、灼熱の眼を持った少女の姿。
紅世の徒より人々の存在の力を守り続けたフレイムヘイズ、シャナのコピー。
ディケイドシャナとでもいうべきそれは、縮んだに近いほどの長さを誇る剣を構えた。
「……!」
「か、可愛い女の子に変身しやがったぞ」
ハルトとコウスケは、共に目を大きく見開く。
「さあ、来い」
ディケイドシャナの挑発。それに応じ、ハルトは腰から指輪を取り出した。
「何が何だか全然分からないけど……でも、やるしかなさそうだね」
「皆まで言うな! おい、えりかもいいな?」
「は、はい!」
背後のえりかも頷く。彼女がスマホを取り出すのと同時に、ハルトとコウスケは共に指輪を手に付けた。
「変身!」
「変~身!」
___どうか安寧な記憶を___
『フレイム プリーズ ヒー ヒー ヒーヒーヒー』
『セット オープン L I O N ライオン』
えりかの頭上の空間に、突如として穴が開く。ワームホールと呼ぶべきその現象は、その中心に黒い六つの機械部品を出現させた。
それは、静かにえりかの腰へ降下していく。
ウィザードとビースト、二人の魔法使いがそれぞれの武器を手にしたときには、えりかもその防具___セラフをその身に付けていた。
「行くよ、皆!」
「ああ!」
「来い……!」
ウィザーソードガンとダイスサーベル。それぞれあらゆる敵との戦いにおいて、重要な役割を果たしてきた武器が、ディケイドシャナの刀___贄殿遮那と交差する。
「速え……!」
ビーストが毒づく。
可奈美のような別次元の素早さではないが、見える動きの最大限の速度に、ウィザードとビーストの剣は常にギリギリのところで躱されてしまう。
さらに、燃える髪をなびかせながら、ディケイドシャナはその刀でウィザードたちを同時に切り裂く。
ウィザードたちがバランスを崩したと同時に、ディケイドシャナは新たなカードを装填する。
『アタックライド 飛焔』
そして発生する、ディケイドシャナの頭上の炎の目。そこから、近接とは真逆の遠距離の炎が放たれた。炎で作られた腕が、ウィザードたちを圧し潰そうとする。
「避けるぞコウスケ!」
「皆まで言うな!」
『ハリケーン プリーズ』
『ファルコ ゴー』
二人の魔法使いは、即座に空中専用の指輪を使用。
エメラルドと隼の力で、それぞれ空中へ駆けあがり、それぞれの炎の腕から逃れる。
炎の翼を持って、二人を追いかけるディケイドシャナ。
「次はこいつだ」
次に彼が手にしたカードは、打って変わって少年が描かれている。
飛翔能力を持つシャナ以上に、ディケイドが選択したそれは。
『カメンライド 一夏』
空を緋色に染め上げる炎は、一転して白い機械を纏った少年となる。
黒髪の少年の姿をしているが、纏う純白の機械には目を見張るものがある。男性ながら唯一ISを起動できる少年、織斑一夏の姿をしているディケイド、ディケイド一夏。
彼は手にした長い剣___白式___を構え、ウィザードたちへ接近してくる。
そのままウィザード、ビースト、ディケイド一夏は、空中で何度も激突を繰り返す。
緑とオレンジと白の軌跡は、地上の可奈美達にとっては流星のようにも見えただろう。
『チョーイイネ サンダー サイコー』
ウィザードは急いで指輪を発動。
発生した魔法陣より、緑の雷光がディケイド一夏を狙う。
だが。
「はあああああああっ!」
ディケイド一夏の叫び声。
同時に振り抜かれた、光の刃白式。機械から真っすぐ伸びたその刃は、魔力をエネルギーに変換した雷さえも両断し、魔法陣ごと切り裂いていた。
「なっ……!?」
驚くウィザード。
だが、それでディケイド一夏の接近が止まるわけではない。
白式が、そのままウィザードの頭上で振り下ろされる。
「ハルト!」
だが、隣のビーストがウィザードを突き飛ばす。そのままダイスサーベルで白式を受け流し、逆にディケイド一夏へ蹴りを入れた。
「ぐっ……」
防御したディケイド一夏は、そのまま高度を落とす。
「ふん」
鼻を鳴らし、即座に別のカードを装填した。
『カメンライド あかね』
白い少年の姿は、どこからともなく飛んできた赤い機械部品に手足を包まれていく。そして、一瞬の瞬きの間に、ディケイド一夏の姿は、短いツインテールの赤い少女の姿に変わっていた。
その手に巨大な赤いブーメランを握るその姿に、ウィザードは思わずつぶやく。
「一体いくつの姿になれるんだ……?」
「さあな? お前はいくつ引っ張り出せるかな?」
示現エンジンと呼ばれる無限のエネルギーを守るために、友情を胸に戦う少女、一色あかね。その姿を映しとったディケイドあかねは、手に持ったブーメラン型の武器、ネイキッドラングを肩にかける。
「行くぜ」
ディケイドあかねはにやりと笑み、そのブーメランを投げる。
キリキリと回転しながらウィザードを狙うが、それはあっさりと打ち弾かれた。
「さらに、コイツはサービスだ」
ディケイドあかねはそう言って、別のカードを取り出す。
『フォームライド あかね ブルー』
すると、ディケイドあかねの色が赤から青に変わっていく。
さらに、別人としか思えない体の変化。さらに、ネイキッドラングはその形を大きく変え、ハンマーとなっていく。
「……へ?」
「どんどんいくぜ」
ビビッドブルー。
二人の友情を合わせたものと同じ姿であるそれは、その手にした巨大なハンマーを振り上げる。
振り下ろされる、巨大なハンマー。それが来る前に、ウィザードは新たな魔法を発動させる。
『ディフェンド プリーズ』
使用された風の壁。
風で作られた強固な壁だったが、それは膨大な質量に圧し潰され、その背後にいたウィザードとビーストを地面に叩き落とした。
土煙を上げるウィザードとビースト。それを見て、着地したディケイドあかねは、次のカードを取り出した。
『バッファ ゴー』
「しゃらくせえ!」
だが、それよりも早く土煙を切り、猛牛のマントを付けたビーストが突進する。
もうすぐ、ディケイドあかねの体に激突する。その直前で。
『カメンライド サイタマ』
ディケイドの姿が、新たな人物のそれとなっている。
黄色の全身タイツと赤いマント。特徴のない顔と、腰のディケイドライバーの他は子供でもイラストが描けそうな姿になったそれ。
サイタマと呼ばれる筋トレの覇者は、変哲もないカウンターパンチをしようと身構える。
それを見たウィザードは、直感した。
終わりだと。
彼が拳を振るうだけだが、なぜか危険性を感じた。
「コウスケ!」
『バインド プリーズ』
ウィザードは咄嗟に拘束の指輪を使い、風で出来た鎖を発生、ビーストを掴み、放る。
静止したビーストの目の前で空を切る、ディケイドさいたまの拳。
ただ、空を切る。それだけだったが、その風圧を受けたウィザードは仮面の下で顔を真っ青にする。
「お、おいハルト……パンチ一発にちょっとオーバーじゃねえの?」
風の鎖で地面に頭から叩きつけられたビーストは不満を口にした。
「何か、危ない気がして……」
「……フン」
ディケイドさいたまは鼻を鳴らし、新しいカードを引っ張り出した。
『カメンライド デンジ』
そのカードを装填すると、ディケイドさいたまの胸に小さな赤い紐が現れる。
それを引っ張ると、ディケイドさいたまの頭部に変化が訪れる。その頭皮を突き破り、チェーンソーの刃が顔を見せた。
「……また凄まじいものに……」
「なんじゃありゃ……バケモンじゃねえか」
「チェーンソーの悪魔……らしいぜ?」
世に蔓延る悪魔を討伐するデビルハンター。その一人、デンジが宿すチェーンソーの悪魔との契約の証をコピーしたそのディケイドデンジは、腕から生えてくるチェーンソーを振るう。
「今度はこっちだ!」
『ランド プリーズ』
風から土へ。
このウィザードの防御力は、先ほどの風の比ではない。
『ディフェンド』
風と土の違い。
それは、土でできた防御の壁の強固さだった。
だが。
「お前が壁を作り、俺が破壊する……」
それは、ディケイドデンジのチェーンソー一振りに、アッサリと崩された。
「な……っ!?」
ウィザードの防御力を越えた破壊力。慌ててウィザードは、再度防御の魔法を発動した。
連続して発動する、土の壁。だが、生成されるそばから、土の壁は切り崩されていく。
「無限ループが完成したなあ!?」
「させません!」
だが、それは突如の乱入者に阻まれる。
えりかが、ディケイドデンジのチェーンソー、その刃先に盾を割り込ませ、その軌道を地面へ反らしたのだ。
地面に刺さったチェーンソー。それを見下ろしたままのディケイドデンジは舌を巻いてえりかを見る。
「蒼井えりか……なら、これだな」
「……!」
えりかの表情が、明らかに変わった。
ディケイドデンジが見せたカード。それは、迷いなく腰のディケイドライバーに差し込まれ。
「俺の伝説は、ここから始まる……ってな」
『カメンライド 月歌』
出現する、ワームホール。
それは、えりかが出現させたものと全く同じもの。だが、その中心に現れるのは、えりかの盾型セラフとは全く別の物。
二本一組、黄銅色の剣が、静かにディケイドデンジの手に舞い降りる。
いや、手にしたのはまた新たなディケイドの姿だった。青い制服を着こなす、長い前髪に左目を隠した少女。
そしてそれは、えりかにとって最も強い想いを抱く相手。
「茅森さん……」
ディケイド月歌は、茫然としていたえりかへ、その二本の剣で斬りかかる。えりかは慌ててその腰の機械をその前面に押し出す。六角形を描くその機械の合間に、非物質の盾が発生し、ディケイド月歌の剣は狙いを逸れた。
「ほう……」
「茅森さん……ではないことは分かっています! シールドレイ!」
そして、放たれる光。だが、リーチが短いのもあって、ディケイド月歌は体を反らしてえりかの反撃を避けた。
「一気に終わらせてやる……」
ディケイド月歌が取り出したカード。細いいくつもの線が交差し、どことなく「A」とも読めるクレストマークのカードを、ディケイド月歌はディケイドライバーに装填した。
『ファイナルアタックライド 月 月 月 月歌』
「! いけない!」
その言葉を聞いた途端、えりかは足を止める。
ウィザードとビーストの前に立ち、その防御を可能な限り広げた。まるで天使の翼が彼女の背中から現れたような幻覚を、ウィザードは目撃する。
「エンジェル・ウィン……」
「遅い!」
えりかが大規模な防御を張るよりも一手素早く、ディケイド月歌の斬撃が彼女の体に届く。
「がっ……!」
「えりかちゃん!」
えりかが大きく体を歪めた直後に、巨大な防壁は完成した。これ以降の攻撃は、彼女の防御を貫通しない限り届かない。
だが。
「もう……手遅れだ」
高速で全方向からの斬撃。ディケイド月歌の攻撃が行われるたびに、彼女の盾が移動し、その攻撃を防ぐ。だが、展開しきれていない以上、その余波のダメージがえりかを襲い続けている。
そして、ディケイド月歌は着地。えりかに背を向けると同時に。
「きゃああああっ!」
爆発。
夢幻泡影と呼ばれる技により、えりかはセラフを解除し、崩れ落ちた。
「えりかちゃん!」
「アイツ、やっぱりやべえぞ!」
ビーストはそう言いながら、新たな指輪を付け直す。
ウィザードも、えりかを助け起こしながら、また新たな指輪を付け直した。それと同時にディケイドもまた別のカードをディケイドライバーに装填した。
『ウォーター プリーズ』
『ドルフィン ゴー』
『カメンライド 吹雪』
青と紫。二つの水属性が魔法使いたちを変化させるのと同じく、ディケイド月歌の周囲から、どことなく戦艦の武装を思い起こさせるパーツが飛び出した。
それは、彼の腕に装着される。だが、装着したのは、青い学生服の月歌の姿ではない。セーラー服の少女。
艦娘と呼ばれる、深海棲艦に抵抗しうる力を持つ者の一人、特型駆逐艦一番艦吹雪。そのコピー、ディケイド吹雪は、右手の射出口をウィザードたちへ向ける。
『リキッド プリーズ』
「来るなら来やがれ!」
「そうさせてもらおう」
ディケイド吹雪の返答と同時に、彼の射出口が火を噴く。
だが、それよりも先にウィザードとビーストの体は液状化。地面を水のように潜伏し、潜っていく。
追いかけるディケイド吹雪。
一見ただの少女の姿をしているが、その移動方法に足は使わない。アスファルトを滑走していくディケイド吹雪の足元には、時折波のような水しぶきが散り上がる。
「行くぜ!」
ビーストが叫び、アスファルトから飛び出す。固体を貫通し、泳げるその能力に対し、ディケイド吹雪は低姿勢を取る。
歩行では決して出来ない、低体勢のままの移動により、ディケイド吹雪はビーストのラッシュを避け切った。
「遅い!」
ビーストの腹に当てられた、ディケイド吹雪の砲台。
「なっ!?」
「食らえ!」
それは、ゼロ距離の砲撃。乾いた空気に響く発射音は、ビーストを吹き飛ばし、地面という海の中に撃沈させた。
「コウスケ!」
ウィザードはディケイド吹雪の背後に飛び上がる。そのままウィザーソードガンを振り下ろす。
それは防御によって出された砲台を切り裂き、そのままディケイド吹雪を蹴り飛ばした。
両足で支えたディケイド吹雪へ、ウィザードは即座に追撃の指輪を発動する。
『チョーイイネ ブリザード サイコー』
「お前よりによって今それ使うなよ!」
地面の中から、ビーストが叫ぶ。
ウィザードはそれを無視しながら、右手を地面に叩きつける。広がっていく青い魔法陣とともに、氷の柱が突き上がっていく。
ディケイド吹雪はひたすらに動き回りながら、氷を避ける。
だがやがて、その右足を氷が捕らえた。
「何!?」
「よし!」
そのまま氷が、ディケイド吹雪を飲み込もうとしていく。
ディケイド吹雪は、完全に氷に閉ざされた。そう、思ったが。
『カメンライド シンラ』
ディケイド吹雪の足が、炎に包まれる。ジェット噴射のように炎が発射され、氷の発射台を砕き、新たなディケイドが空へ上がっていく。
黒い消防服を纏った、ギザギザの歯が特徴の少年。それは、人体発火現象により、焔ビトとなった怪物たちから人々を守るヒーローを志す少年、森羅日下部を模したディケイドシンラである。
ディケイドシンラは体を捻りながら、ウィザードへ蹴りを放つ。炎を宿した裸足の蹴りは、水のウィザードを地面にめり込ませる。
そのまま空中へ離脱しようとするディケイドシンラ。だが。
『カメレオン ゴー』
「逃がさねえぜ!」
ビーストの肩に装備された、カメレオンの甲冑。その口から発射された長い舌が、ディケイシンラの右足を掴んだ。
「うっし! 続けて……!」
ビーストは即座に、手にしたダイスサーベルのサイコロを回転させる。右手のカメレオンの指輪でダイスを止めると。
『5 カメレオン セイバーストライク』
「上出来だ! オラァ!」
ビーストがダイスサーベルを振ると、五体のカメレオンの幻影が出現。
それは、逃げられないディケイドシンラへ容赦なく体当たりを行い、爆発。ディケイドシンラは爆炎とともに墜落した。
「うっし!」
「やったのか……?」
やがて、晴れていく煙。
そして、その中からは。
新たな姿のディケイド___白い、魔法少女のような姿をした少女___がいた。
茶髪のツインテール。白に、ところどころ青で彩られた衣装。その左手には、長い金の錫杖が握られており、先端には桃色の球体が取り付けられている。
「まだやれんのか……」
「コウスケ」
ウィザードは水から火へと戻り、最後の指輪へ手を伸ばす。
「これ以上続けるのは、こっちに不利だよ。……決めよう」
「だな」
ビーストは頷き、変身時にも使った指輪を再度ビーストドライバーに装填する。
同時に、ウィザードもまた指輪を発動。
『チョーイイネ キックストライク サイコー』
『ゴー キックストライク ミックス カメレオン』
『ファイナルアタックライド _ _ _ ___』
ディケイドのそのカードのガイダンスボイスが、こちらの指輪の詠唱と被って聞こえなかった。
だが。
「あの光……!」
「おいおい、あれってまさか……」
魔法少女のディケイドの前に起こるその現象に、ウィザードとビーストは共に絶句した。
空間に散らばる、参加者たちの戦いの残滓。
刀使の写シ、奏者のフォニックゲイン、勇者の神樹の力、ゼクスのリソース、魔法少女の魔法少女の力、ブライのムーの力、セラフ部隊のセラフの力。
それらのエネルギーが、桃色の光となって魔法少女のディケイドに集まっていく。同じく桃色の魔法陣が光を吸収し、大きく、より大きな球体を作り上げていく。
驚いているのは、ウィザードとビーストだけではない。
可奈美、響、友奈も。
ほむら、リゲル、ソロも、えりかも。
それは、あらゆる聖杯戦争の局面で、大きな転換を作り上げた技。ウィザードのキックストライクを赤子の手のようにひねり、コンクリートに潜っていた敵対者を戦闘不能にし、最凶のサーヴァントさえも仕留めた技に相違ない。
それと全く同一のものが。
魔法少女のディケイドから放たれた。
真っすぐウィザードとビーストを飲み込もうとする光が伸びていく、その時。
全く同じ桃色の光が、別方向から放たれた。
両者は空中でぶつかり合い、やがて対消滅。
その余波で、ウィザード、ビーストは倒れ、それぞれ変身を解除してしまう。
ディケイドもまた、本来のディケイドの姿となり、着地。突然の邪魔者の姿を求めて、顔を上げている。
そして。
空中には、漆黒の翼を広げる、銀髪の女性がいた。手を伸ばしたままの彼女は、その赤い瞳で、地上のほむらを、そしてハルト、コウスケ、ディケイドを見下ろした。
間違いなく、今ディケイドを止めたのは、彼女だろう。
その名は。
「キャスター……!」
見滝原における聖杯戦争。
その最強格の力を誇る、キャスターのサーヴァント。
彼女こそが、ディケイドが放った最強の魔法を、同じ魔法で打ち消したのだった。
後書き
記録してはいませんけど、今までで一話の文字数一番多かったのではないでしょうか……?
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