ハッピークローバー
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第六十七話 阪神の勝利を聞いてその四
「勝ったならね」
「それでいいの」
「そうでしょ、巨人が負けてね」
富美子にこう言った。
「阪神が勝ったならね」
「何処のお酒でもなの」
「阪神をお祝いするね」
そうしたというのだ。
「勝利の美酒よ」
「そうなるの」
「じゃあ聞くけれど」
中国から来た娘は富美子にさらに言った。
「若し東京ドームで優勝して」
「巨人相手に」
「その場で喜んでビール飲んだら」
「東京ドームでなのね」
「完全に東京のお酒で」
それにというのだ。
「巨人の本拠地だから」
「巨人のお酒ね」
「それでも優勝したら飲むでしょ」
「もう嬉しくてね」
実際にとだ、富美子も答えた。
「その場でね」
「そうでしょ、別に適地でもね」
「広島でもなのね」
「勝って飲むならね」
それならというのだ。
「もうそれはね」
「勝利の美酒なのね」
「そうよ、勝ったらそれでよ」
まさにというのだ。
「いいのよ」
「そんなものね」
「気にしないことよ、それに広島のお酒も美味しいじゃない」
「それはね」
富美子も否定しなかった。
「神戸や大阪のお酒も美味しいけれど」
「こっちもでしょ」
「幾らでも飲めるわ」
富美子は生牡蠣を肴に飲みつつ答えた。
「これはね」
「だったらそれでいいのよ」
「美味しかったら」
「まずかったら駄目だけれど」
「美味しいものだったら」
「何処のお酒でもね」
それこそというのだ。
「別によ」
「いいのね」
「そういうことよ、あとね」
「あと?」
「日本に来て思ったけれど」
中国から来た娘はこうも言った。
「日本ってビールが一番売れてる?」
「かもね」
富美子も否定しなかった。
「日本酒もあるけれど」
「スーパーとかだとね」
「ビールのコーナーがね」
酒の中ではというのだ。
「一番ね」
「大きいわね」
「それで実際にね」
「売れてるのも」
「ビールみたいだしね」
「それをね」
「あんたも思ったの」
「中国でもね」
祖国でもというのだ。
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