仇名の由来

「どんでんって言われてるんだ」
「そうなんだな」
「こうしたこともあるから」
　寿はさらに言った。
「仇名がつくのって」
「テレビのＣＭからもか」
「そうだよ」
　まさにというのだ。
「つくことがあるんだよ」
「成程な」
「あの人他にね」
　寿はさらに話した。
「サンガリアのＣＭにも出てたよ」
「あのジュースのか」
「そちらにもね」
「そうだったんだな」
「そっちは仇名にならなかったけれど」
「出てたんだな」
「そうだよ」
　こうクラスメイトに話した。
「これがね」
「成程な」
「まあバットとかホームランの奇麗さとか」
「ＣＭとかもか」
「仇名になるよ」
「何でもなるんだな」
「金本さんだって」
　広島から移って活躍し監督まで務めた彼はというのだ。
「その雰囲気や姿勢からね」
「そうそう、兄貴」
「皆そう呼んでたよな」
「まさに兄貴だからなあの人」
「阪神にとってのな」
「仇名の付き方はそれぞれだよ」
　こうクラスメイト達に話した、そしてだった。
　寿は阪神のこと以外のことも学校で頑張っていった、勉強にスキー部の部活にとだ。そうしてだった。
　家に帰っても予習復習とだった。
　阪神のことを学ぶがここで妹に千佳に聞かれた。
「マイクって誰？」
「阪神のか？」
「ええ、それ誰？」
「仲田幸司さんだろ」
　即座にだ、寿は平然と答えた。
「左のエースだったな」
「その人ね」
「今は工事現場で働いているらしいな」
「そこまで知ってるのね」
　これには千佳も驚いた。
「流石ね」
「流石か？」
「今何してるかまで知ってるなんて」
「千佳だってカープの選手でも知ってる人いるだろ」
「まあね」
　千佳もそれは否定しなかった。
「言われたら」
「じゃあ同じだよ」
「そうなるわね、それでね」
　千佳は兄にあらためて言った。
「私が聞きたいのは」
「何で仲田さんの仇名がマイクか」
「アメリカの人みたいな名前だけれど」
「あの人ハーフだったんだよ」
　これまたあっさりとだ、寿は答えた。
「アメリカ人とのな」
「そうなの？」
「本名にマイクって入ってな」
「実際に」
「それでな」
　そのうえでというのだ。