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仇名の由来

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第一章

                仇名の由来
 根室寿は中学三年にして阪神タイガースのことはかなりのことを知っている恐るべき阪神ファンである、当然歴代選手の背番号や出身地ポジションもかなり言えるが。
 仇名についてもだ、彼はよくクラスメイトに言われていた。
「よく知ってるよな」
「ああ、阪神の昔の人の仇名までな」
「根室っちよく知ってるよな」
「今の選手もそうで」
「誰がどんな仇名だったか」
「それまでな」
「いや、普通にね」 
 寿はクラスメイト達に何でもないといった顔で答えた。
「阪神好きなら普通にね」
「覚えるか?」
「仇名まで」
「それぞれ」
「うん、誰かが名付けて」
 その選手にというのだ。
「それが定着してね」
「それでか」
「皆その仇名覚えて」
「使う様になってか」
「もう覚えていく」
「そうなるか」
「そうだよ、例えば」
 寿はクラスメイト達に落ち着いた顔で話した。
「藤村さんは物干竿バットだったけれど」
「ああ、ミスタータイガース」
「背番号十のな」
「永久欠番の人だな」
「そのバットがかなり長かったから」 
 規定ぎりぎりまでの長さだったというのだ。
「それでだよ」
「長いから物干竿か」
「そこまで長いって言われて」
「それでか」
「ついた仇名だしね」
 それでというのだ。
「田淵さんは本当に奇麗なアーチ打ったから」
「ああ、天性のホームランアーチスト」
「あの人はそうだったな」
「そう呼ばれていたよな」
「仇名そうだったな」
「漫画でも有名だったけれど」
 そこではコミカルなキャラクターであった。
「この人もだよ」
「奇麗なホームラン打った」
「それでそのまま仇名になった」
「定着したんだな」
「そうだよ、インパクトのある選手は」
 阪神のというのだ。
「もう自然と頭に入って」
「覚えるか」
「それで色々な選手の仇名もか」
「その中で覚えていくんだな」
「他の人から見たらインパクトなくても」
「そうだよ、応援していたら」
 そうすればというのだ。
「やっぱり入るよ、皆も今の選手の仇名わかるよね」
「まあな」
「ある程度でもな」
「頭には入るな」
「言われてみれば」
「確かに」
 クラスメイト達もそれはと頷いた。
「言われてみれば」
「僕達もそうだな」
「阪神の今の選手わかるよ」
「巨大掲示板のプロ野球板の阪神のスレッドに一覧あるしな」
「覚えられるな」
「そうそう、あそこのスレッドチェックしたら」
 寿はそれならとクラスメイトに即答した。 
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