タブーの壁
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第一章
タブーの壁
法律では禁止されていない、関聖子はこのことを極めて重要視していた。
職業は弁護士である、黒髪をショートにしていてきりっとした顔でやや面長で顎の先が尖っていて唇は小さく整っている。
背は一六五程ですらりとしたスタイルで膝までのタイトスカートに非常によく似合ったいる。その彼女がだ。
今仕事の依頼相手にだ、こう言った。
「あの、それは」
「無理ですか」
「はい」
まさにだ、依頼主の若い女性に話した。
「どうしても」
「そうですか」
「法律に反しますので」
その若い女性、伊東由紀に話した。やや面長で黒髪をロングにしている垂れ目で楚々とした顔である。色白で聖子より二センチ位高い背でスタイルはいいが胸はない。
「ですから」
「そうなんですね」
「はい、ですからそうしたことはです」
「出来ないですか」
「他のやり方で」
それでというのだ。
「ことを進めていくべきです」
「わかりました、では」
「今回のことはです」
「私は法律は専門でないので」
由紀はそれならと答えた。
「弁護士さんにです」
「任せてくれますか」
「はい」
こう聖子に話した。
「そうさせてもらいます」
「では」
「はい、お願いします」
こう言って聖子に任せた、聖子は法律に基づいてことを進めていった、だが。
ある日だ、弁護士の世界で有名な人物譜久島三洲穂という人物がとあるテロの実行犯の弁護をかって出てと聞いてだ。
所属している弁護士事務所の所長である深田光男四角い顔に小さい目を持つ穏やかな顔立ちのがっしりした大柄な初老の男に言った。
「あの、譜久島さんは」
「ああ、あの人のことだね」
深田もその目の光を鋭くさせて応えた。白髪頭を触りつつ話した。
「私も聞いているよ」
「あの、テロの実行犯のです」
「弁護をだね」
「自分からかって出るのは」
「何でもね」
深田はさらに話した。
「実行犯は同期らしいんだよ」
「同期?」
「大学のね」
「そうだったんですか」
「その頃からの付き合いがあって」
それでというのだ。
「それでね」
「ご自身からですか」
「弁護をかって出たんだよ」
「あの、それは」
聖子は深田に眉を顰めさせて言った。
「私情を入れることになりますので」
「弁護士としてだね」
「法律に反しませんが」
法律に厳しい立場としての言葉だった。
「特に。ですが」
「それでもだよね」
「幾ら大学の同期といっても」
「それでもだね」
「行ったらです」
それはというのだ。
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