キリストとモミの木
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第二章
「雨宿りをしてもです」
「大丈夫なのですか」
「私達皆が雨宿りをしても」
「そうしても」
「そうです、では入りましょう」
この木の下にというのです、こうお話してでした。
キリストは自らモミの木の下に入りました、使徒の人達も主がそう言うのならとお顔を見合わせて頷き合ってでした。
木の下に入りました、するとです。
キはすぐに自ら幅を広げてでした、皆を雨から守ってくれました。使徒の人達もこれには驚きました。
「何と」
「主の言われる通りだ」
「モミの木は我等を雨から守ってくれる」
「自ら枝と葉の間を広げて」
「私の言った通りですね、これもまた神のご加護であり」
キリストは使徒の人達に優しい声でお話しました。
「モミの木の優しさなのです」
「雨から人を守ってくれる」
「そうした木なのですね」
「モミの木はそうなのですね」
「はい、ですから」
それでというのです。
「今はです」
「モミの木の優しさに感謝し」
「そして雨宿りをすることですね」
「そうすることですね」
「そうです、また神のご加護にも感謝しましょう」
使徒の人達にこうも言うのでした。
「この度のこともまたそうなのですから」
「そうですね、ではです」
「今は雨宿りをしましょう」
「このモミの木の下で」
「そうしましょう」
使徒の人達も頷きました、そうしてです。
皆で雨が止むまでキリストのお話を聞きました、キリストは最後まで優しいお顔で皆にお話しました。
そして雨が止むとモミの木から離れましたが。
その木を観てです、キリストは使徒の人達に言いました。
「この木は夏も冬も葉が変わりませんですね」
「そうですね、緑のままです」
「季節が変わろうとも」
「そうなっていますね」
「そうした木でありです」
そうしてというのです。
「雨から人を守りもしてくれる」
「そうした木ですね」
「実に有難い木ですね」
「そうですね」
「そうです、そのことを覚えておいて下さい」
是非にと言うのでした。
「宜しいですね」
「わかりました」
「そうさせて頂きます」
「これからは」
使徒の人達も頷きます、そしてここでキリストはまた言いました。
「この木がいつも緑であることも」
「神のご加護ですね」
「人を雨から守ることといい」
「そのことと同じで」
「全ては神のご加護ですね」
「そうなのです、全ては神のご加護です」
こう言って使徒の人達と共にその場を後にしました、古い古いお話です。
キリストとモミの木 完
2022・11・14
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