アナザーフィルム
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第三章
「イギリスの森程怖くはね」
「ないのね」
「だから今こうして静香と一緒に歩いても」
そうしてもというのだ。
「落ち着いているよ、じゃあこのまま道を進んで」
「そうして」
「それで頂上まで行ったらそろそろお昼だし」
「そうね、このままいけばね」
静香は自分達がいる山の地図を開き腕時計で時間もチェックして応えた。二人の歩く速さも計算してのことだ。
「お昼にはね」
「着くね」
「じゃあ頂上に着いたら」
「お昼食べて」
そうしてとだ、隣を歩くトーマスに話した。
「休憩して写真もね」
「撮ろうね」
「そうしましょう」
トーマスに笑顔で言葉を返した、そうしてだった。
実際に二人は昼頃に頂上に着いた、すると。
二人で敷きものを敷いてだった、その上に仲良く腰を下ろしてだった。
その上で弁当を出して食べはじめた、弁当は静香が作ったお握りと塩ジャケに野菜の佃煮にトマトやデザートのバナナといったものだった。
トーマスはお握りを美味しそうに食べた、そして食べ終わると。
満面の笑顔でだ、静香に言った。
「じゃあ二人でここまで来たから」
「それでよね」
「記念撮影をね」
これをというのだ。
「しようか」
「スマホでする?」
「いやいや、写真でもだよ」
カメラを出して言った、自分のリュックから脚も出した。
「これでもだよ」
「撮るの」
「そうしよう」
「トーマスって写真好きだったの」
「実はね」
恋人に笑って答えた。
「そうなんだ」
「それでなのね」
「そう、これからね」
「スマホで撮って」
「写真でもね」
こちらでもというのだ。
「撮ろうね」
「それじゃあね」
「ここに二人で来た記念でね」
笑顔で言ってそうしてだった。
二人でスマートフォンでだけでなくだ。
写真でも撮った、そうして二人で仲良く下山して最寄りの駅まで一緒に行ってピクニックを軸とした楽しい一日を終えた。
そして写真が出来るとだった。
トーマスは大学で静香に眉を顰めさせて話した、二人共今は普通の服装だ。
「あの、写真だけれど」
「どうしたの?」
「あの時何枚か撮ったけれど」
それでもと言うのだった。
「ちょっとね」
「ちょっと?」
「いや、もっと言えばちょっと以上にね」
こう言うのだった。
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