最低の実父と最高の義父
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第二章
「だってね」
「お前と母さんを捨てたからか」
「慰謝料も養育費もね」
「払わないでか」
「愛人の人と一緒になった様な人だから」
実にだ、真礼は嫌悪感を込めて父に話した。
「だからね」
「そうか、まあそれもな」
父は娘の話を聞いて頷いた。
「篤君と話してだな」
「決めたわ、あの人もね」
「いいと言ってくれたんだな」
「当然だってね」
「それじゃあな」
「ええ、明日ね」
「いい結婚式にしような」
父は娘に優しい笑顔で告げた、そしてだった。
真礼は新郎それにお互いの家族や友人お互いの職場の人達と一緒に幸せな結婚式を挙げた、それは彼女にとって一緒の思い出になった。
そのうえで長身で優しい顔立ちの黒髪で面長の夫と幸せな家庭を築いたが。
子供が生まれてそれからだった。
実家に帰った時に母の真子自分そっくりの母がいる場で父に言われた。
「生みのお父さん亡くなったらしいな」
「あら、そうなの」
あっさりとだ、真礼は父に応えた。
「亡くなったの」
「ああ、どうもあの後一緒になった愛人さんは若いホストに入れ込んでな」
「そうなったの」
「借金作ってな」
そうなってというのだ。
「その人の借金抱えて愛人さん捨てて夜逃げして」
「勝手ね、お互い」
「それでも借金取り、ヤミ金の人に捕まってな」
「とんでもないところで働かされて」
「身体壊して借金返し終えたら身体はボロボロで」
「亡くなったの」
「そこからアル中になって糖尿病と痛風と肺癌も患って」
そうしてというのだ。
「瘦せ細って苦しみ抜いてな」
「亡くなったの」
「そうらしいな」
「そうなのね、けれどもうどうでもいい人だから」
真礼は父に素っ気なく返した。
「お葬式も終わったのよね」
「身寄りもなくて街の方で入院していた病院からあっさりと済まされたらしい」
「そうなのね」
「お墓は無縁仏とのことだ」
「わかったわ、じゃあね」
「もういいか」
「亡くなったことだけ覚えておくわ」
実父の死は素っ気なく聞いてだった。
真礼は夫と共に父と母に初孫を見せた、そうして一家で幸せに自分達の今の暮らしのことを話したのだった。
最低の実父と最高の義父 完
2023・2・25
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