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展覧会の絵

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最終話 幸せな絵その二

「学校に行くよ。そしてね」
「学園の中の子羊達をですね」
「見守るよ。そうするよ」
 こう言うのだった。
「心の傷が癒えているのかどうかね」
「それを見守られますか」
「確かに救われたけれど心の傷は深く大きいからね」
 その傷の深さと大きさもだ。十字はわかっていた。
「だから見守るよ」
「このまま癒えて幸福の道を歩まれればいいですね」
「それを助けるのも僕の務めだよ」
 神に仕える者、その彼のだというのだ。
「そうするよ。明日からまたね」
「今日は大丈夫ですね」
「うん。今日は二組共楽しくデートを楽しんでいるよ」
 愛し合う二人に許されたことをだ。楽しんでいるというのだ。
「そうするよ。ではね」
「はい、また明日からお願いします」
「幸せな恋愛は神が最も喜ばれるもの」
 十字は表情を変えずに述べた。
「それ故にね」
「はい、その為にも」
「その彼等を見守り。何かがあろうとすれば」
「直接守られますね」
「陰からね」
 決して表には出ない。だがそれでもだった。
「そうするよ」
「お疲れ様です。いつも」
「何度も言うけれどこれが神の務めだから」
 それ故にだとだ。十字は淡々と述べた。
「疲れは感じないよ」
「神の務め故に」
「そうだよ」 
 神の務め、それならばだというのだ。
「当然のことだからね」
「疲れを感じられずに」
「務めを果たすだけだよ。それでね」
 さらに言うのだった。神父に対して。
「また別の悪が出て来ているね」
「はい、今度は小さな悪ですが」
「どういった悪かな」
「悪質な暴走族ですがどうされますか」
「まずは調べよう。そして」
 調べそのうえでだというのだ。
「神が裁かれると判断されたらその時は」
「彼等に対してもですね」
「うん、裁きの代行を行うよ」
 まさにだ。それをだというのだ。
「そうするよ」
「では調べることは及ばずながら私も」
 これまで通り神父も手伝いそのうえで神の目となるというのだ。
「そうさせて頂きます」
「頼むよ。今回も」
「はい」
「では学校に行ってね」
 彼にとって学校は学び舎であるだけではなかった。
 そこは務めを探す場でもあった。そしてその場に行ってだった。
「見てくるよ」
「それでは」
 こうした話をしてだった。十字は八条学園高等部、今彼が通っているその学園に向かった。朝の学園では部活の朝練で猛と雅が。
 ジャージ姿でグラウンドを走っていた。その中でタオルで汗を拭きながらだった。
 雅が猛にだ。こう言ってきたのだった。
「最近身体の動きがよくなってきてない?」
「そうかな」
「ええ。前よりも一段とね」
 猛の身体のキレがだ。よくなっているのではないかというのだ。
「走り方も流れる様になって」
「別にそうは思わないけれど」
「脚の動きだけじゃなくてね」
 走ると言えば脚だ。脚を使うものだ。
 だがそれだけではないとだ。雅はここで猛に言うのだった。
「腹筋使ってるでしょ」
「ああ、腹筋なんだ」
「そう。腹筋使ってるでしょ」
 こう言うのだった。
「それで走ってるわよね」
「腹筋ねえ」
「猛サーキットトレーニングにも力入れてるわよね」
「うん、そういうのも大事だからね」
 基礎体力や筋力の練成にだ。そちらにも力を入れているのだ。 
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