イベリス
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第八十六話 恋愛のダメージその四
「いいでしょ」
「どんな人を好きになっても」
「太宰のかちかち山の狸なんて」
こちらの狸の話をした。
「ただださいだけでしょ」
「それだけですね」
咲は読破した者として答えた。
「見てみると」
「殺されることしてないでしょ」
「そうですよね」
「振るにしてもね」
例えそうであってもというのだ。
「やり方があるし」
「本校だってそうですね」
「相手を傷付けない」
振るにしてもというのだ。
「これは絶対よ」
「相手も人ですからね」
「傷付くのよ、特に告白とかね」
「本人は必死ですね」
「そう、だからね」
それが為にというのだ。
「相手はね」
「出来る限りですね」
「気遣って」
「断わるべきですね」
「そうよ、本校での話はね」
「相手を徹底的に踏み躙ってますね」
「こんなのされた方が傷付いてよ」
そうなってというのだ。
「トラウマ持つのもね」
「当然ですね」
「そんな人を好きになったことも問題だけれど」
「好きになった人もですね」
「人を見る目がなかったのよ」
そうだったというのだ。
「だからね」
「そんな目に遭ったんですね」
「そう、けれどね」
「そんなことをすることは許されないですね」
「自分に告白する位好きになった人なんて」
それこそというのだ。
「傷付けたらね」
「駄目ですね」
「だから傷付けないで」
このことを意識してというのだ。
「断わるべきよ」
「そうすることが筋ですね」
「ええ、本校の話もそうでね」
「かちかち山もですね」
太宰版のとだ、咲は話した。
「同じですね、というか」
「殺してるからね」
「余計に駄目ですね」
「そうよ、それも嬲り殺しだから」
その様にして殺したからだというのだ。
「もうね」
「もっと悪いですね」
「それで嬲り殺して」
「惚れたが悪いかって言われましたね」
「そしてね」
そうしてとだ、先輩はさらに話した。
「汗かいちゃったで終わりだから」
「碌でもないですね」
「サイコパスでしょ」
まさにと言うのだった。
「私そう思うわ」
「私もです」
咲もその通りだと答えた。
「あの兎はそうですよね」
「そうでしょ、恋愛って怖いって思ったわ」
「とんでもない結末を迎えることもありますね」
「本校のお話といいね」
「かちかち山でもですね」
「この人好きになっただけなのに」
その相手が幾らとんでもない相手でもというのだ。
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