星河の覇皇
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第八十三部第二章 撤退の果てにその三十六
「軍人でないし官僚もだ」
「然りですね」
「国益の為に動くべきですね」
「やはり」
「そうだ、ただ」
艦長はこうも言った。
「かつて奇妙な主張があった」
「奇妙?」
「奇妙といいますと」
「国益を求めてはならない」
この言葉をここで出した。
「政治家も官僚も市民も。そして国家もな」
「国益を求めるな、ですか」
「それはどうも」
「おかしいですね」
「奇怪な主張です」
「二十世紀後半から二十一世紀前半の日本にあった」
その主張はというのだ。
「国益を求めると搾取だ収奪だとな」
「そう言ってですか」
「国家は国益を求めてはならないと言ったのですか」
「そうした主張があったのですか」
「左翼政党や学者や市民団体が言っていた」
その様にというのだ。
「自分達を世界市民とも言ってな」
「それはまた奇怪ですね」
「国家は国益を求めるなとは」
「政治家もそうしろとは」
「それはまた」
「政治家は国益を手に入れ」
そしてというのだ。
「その国益を市民に公平に分配する」
「それが政治家の仕事です」
「内政なり外交で国益を手に入れ」
「それが政治家の仕事ですが」
「それを否定しますと」
「そして国防すらだ」
これもというのだ。
「憲法で戦争や軍隊を否定するとな」
「そう言ってですか」
「国防も否定してですか」
「放棄していたのですか」
「そしてだ」
その結果というのだ。
「左翼政党は他国と結託したりもしていたという」
「それは政治家ではないですね」
「最早そう言うしかないですね」
「他国と結託するとは」
「今もそうした輩はいない訳ではないですが」
「当時の日本はそうした政治家に学者、市民団体が多かった」
そうだったというのだ。
「国益を否定してな」
「他国の国益の為に動いていた」
「そうでしたか」
「その実は」
「マスコミもだ」
彼等もというのだ。
「特に北朝鮮と仲がよかったという」
「あの国ですか」
「今も悪名を残す国でしたね」
「世襲制の共産主義でしたね」
「階級もある」
「北朝鮮と結託している者達は平等を謡い」
そしてというのだ。
「国益も否定し搾取や収奪だと批判していたが」
「当時の日本をですね」
「自分達の国を」
「そうしていたのですね」
「しかしこの国は愛していてだ」
まるで自分達の祖国の様にだ。
「日本の皇室も否定していたがな」
「あの国の制度はよかったのですね」
「世襲制の共産主義を」
「そうした異常な国家を」
「そうでしたか」
「国民が支持していると言ってな」
北朝鮮の彼等がというのだ。
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