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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第百三十三話 司馬尉、陣を語るのことその一

                            第百三十三話  司馬尉、陣を語るのこと
 劉備達連合軍は北の匈奴の地に向かう。その先陣には。
 袁紹がいた。彼女は先陣のさらに先頭にいてだ。馬上で胸を張っている。
 その彼女がだ、満面の笑みで言うのだった。
「さて、誰が来てもですわ」
「戦うっていうのね」
「そうですわ。やりますわよ」
 傍らにいる曹操にもだ。満面の笑みであった。
「折角の先陣なのですから」
「全く。宰相の一人で先陣なんてね」
 曹操はその袁紹に対して呆れた顔で返す。 
 そしてそのうえでだ。こう彼女に言ったのである。
「私もだけれど」
「左右の宰相がそれぞれ先陣ですわね」
「私は最初は先陣になるつもりなんてなかったわよ」
「あら、ありませんでしたの」
「当たり前でしょ。だからどうして宰相が先陣なのよ」
「同時に将軍でしてよ」
 将軍ならばだとだ。袁紹も負けていない。
「それなら先陣は当然でしてよ」
「普通将軍も高位なら先陣なんてしないし」
「言いますわね、また」
 いい加減だ。袁紹もだ。
 不機嫌な顔になりだ。こう曹操に返したのである。
「先陣の栄誉について何とも思いませんの?」
「貴女の場合はただのでしゃばりでしょ」
 袁紹を実によくわかっているからこその言葉だった。
「全く。子供の頃から変わらないわね」
「ここで子供の頃のお話ですの」
「そうよ。何度でも言うわよ」
「くっ、人の上に立つ者なら率先垂範は当然ですわ」
「だから。指揮官が矢面に進んで出るのは問題なのよ」
 曹操は指揮官として当然のことを話す。
「若し何かあれば指揮はどうするのよ」
「そんなのは倒されなければいいことですわ」
「その発想が駄目なのよ」
 曹操は眉を顰めさせて袁紹に告げる。
「率先垂範はいいけれどね。だから貴女は」
「でしゃばりというのでして?」
「そうよ。目立ちたがりなのは本当に変わらないわね」
「うう、しかしこれは」
「貴女だけだと心配だからよ」
 曹操はここで本音を出した。袁紹の横で馬に乗りつつ。
「こうして私もいるのよ」
「感謝して欲しいのでして?」
「今更そんなこと言う仲じゃないでしょ」
 今度は幼馴染としての話だった。
「今までどれだけ御互い助け合ってきたのよ」
「わたくしが華琳を?」
 そう言われてだ。袁紹はきょとんとした顔になった。
 そしてそのうえでだ。こう曹操に尋ねたのである。
「何時助けてますの?」
「自覚はないのね」
「ですから。わたくしが何時貴女を」
「気付いていないだけでそうなのよ」
「そうですの」
「そうよ。御互い助け合ってきているから」
 それでだというのだ。
「今更そんなことを言うことはないから」
「そうですの」
「とにかくよ」
 何はともあれだという曹操だった。ここではだ。
「斥侯は出してるわよね」
「当然ですわ、それは」
「その斥侯からの報告はあるかしら」
「いえ、ありませんわ」
 それはないというのだ。
「今のところは」
「そう。それじゃあ」
「そうですわね。恐らくはですけれど」
 曹操だけでなく袁紹もだ。その眉を曇らせてだ。
 そうしてだ。こう話すのだった。
「連中の常として必ず何かを企んでいますわね」
「問題はそれが何かだけれど」
「赤壁の時の様に夜襲は」
「それも考えられるけれど」
「同じ策を二度はありませんわね」
「ええ、それはないわね」
 二人はこう読んだ。彼等のこれまでの行動からだ。
 それでだ。ここで言うのだった。
「妖術は結界を敷いていますし」
「それでどうするかよね」
「例えばですが」
 ここでだ。夏侯淵がだ。二人のところに来てだ。
 そうしてだ。こう二人に言ったのである。
「我々に妖術が効かないとなると」
「自分達に術を使う?」
「それなら術を使っても問題はないかと」
「そうね。私達に術が効かないのなら」
 それならばだというのだ。
 
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