恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第百三十二話 一同、北に向かうのことそ一
第百三十二話 一同、北に向かうのこと
陸遜は関羽達からその九頭の九尾の狐の話を聞いた。そしてその瞬間にだった。
飛び上がらんばかりに驚きそれと共に胸を大きく上下に揺らしてだ。こう言ったのである。
「それはリョウシツですよ!大変です!」
「やはり恐ろしい存在か」
「それにそんな名前だったんだな」
「九尾の狐は千年生きて恐ろしい力を得た狐です」
趙雲と馬超が言ったところでだ。彼女はまずは普通の九尾の狐の話をした。
「狐の世界は複雑でして」
「確か修業の度合いによって位階があったわね」
「はい、野狐からはじまってです」
狐についての知識があると見られる黄忠に話してさらに言うのだった。
「最上位は天狐ですが」
「九尾の狐はその天狐よりも上だったわね」
「はい、別格です」
そうした存在だというのだ。その普通の九尾の狐はだ。
陸遜はさらにだ。普通の九尾の狐について話していく。
「まさに神に匹敵する力があり高位の仙人でないと中々相手になりません」
「普通でそれ位なのだ」
「はい、ですから司馬尉仲達はこれまでもかなりの力を持っていました」
それまででもだというのだ。
「まさに高位の妖仙の力がありました」
「しかしそれに加えてか」
「そうです。九尾の狐がさらに千年生きますと」
「九頭も得るのか」
「それがそのリョウシツです」
その名前の魔物になるというのだ。
「その魔力は普通の九尾の狐の比ではありません」
「まさに世界を滅ぼせるだけの」
「それだけの存在になるのだ」
関羽と張飛もだ。その話を聞いてだ。
驚く顔になりだ。こうそれぞれ言ったのである。
「只でさえあれだけの力を持っていたというのに」
「あれだけの化け物になったのだ」
「九尾の狐は実はいいものと悪いものがいます」
またここでその狐について話す陸遜だった。
「いい狐はまさに神の使いか神でして」
「人の為にいいことをしてくれるわね」
「そうです。聖獣です」
まさにそれだとだ。黄忠にも述べる。
「ですが悪い狐はです」
「人を食うな」
「商の頃に暴れたあいつみたいにだな」
「そうです。そうして妖力をさらに高めます」
そうしたものだと。陸遜はまた趙雲と馬超に述べた。
「そしてリョウシツはです」
「その人を食う九尾の狐がか」
「なったものなのだ」
「千年の間さらに生きて人を襲い食らってです」
陸遜の顔がいよいよ深刻なものになる。そのうえで関羽と張飛に述べたのである。
「あの様になったのです」
「!?ということはまさか」
不意にだ。関羽はだ。恐ろしいことを考えた。
そうしてだ。青ざめた顔で陸遜に尋ねたのである。
「あの女はまさか人を」
「あまり考えたくはないですが」
陸遜もだ。その顔を青ざめさせて関羽のその言葉に応える。
「その可能性もです」
「否定できないか」
「医学では胎児や人の内臓も使います」
「ではそういったものをか」
「はい、普通は使わないそうしたものをです」
「食していた可能性もあるか」
「若しくは。実際にです」
陸遜の顔は白くなっていた。血の気がさらに引いている。
その顔でだ。彼女は言うのだった。
「人を。生身の人を」
「喰らっていたのか」
「過去に実際にそうした輩もいましたし」
この国だけでなくだ。多くの国にある話ではある。
「ですから。その可能性もです」
「否定できないな」
「司馬尉はそもそも人ではありません」
「心がそうでないからだな」
「はい、ですからそうしたことも充分に考えられます」
そうだというのだ。
「だからこそ恐ろしいのです」
「そしてその魔皇帝をか」
「私達は倒さなければなりません」
「敵は多いな」
歯噛みする強い顔になってだった。関羽は言った。
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