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イベリス

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第八十四話 合宿その十

「そうした人は」
「この人本当によ」
「国立大学出てたんですか」
「けれどどうかしら」
「その人生きられます?」
「そこまでの人でしょ」
「無能って言うか」
 副部長が先程言った言葉を出して話した。
「もうです」
「どうにもならない人でしょ」
「学歴って関係ないんですね」
「学歴会ってもそこにいる場所でちゃんと出来ないとね」
 さもないと、というのだ。
「駄目よ」
「学歴ってそうですか」
「そうしたものよ、まあこの人おかしいけれどね」
「そうですよね」
 咲もそれはと頷いて答えた。
「どう見ても」
「普通にお仕事すればね」
「それでいいですね」
「学歴あってもね」
「それでなくてもですね」
「出来ればね」
 それでというのだ。
「いいのよ」
「そういうことですね」
「そう、まあ学歴は必要なことは確かでも」 
 世の中ではというのだ。
「それだけではね」
「ないですね」
「そういうことよ」
「よく全部って思う人がいても」
「それは違うのよ」
「それが全てじゃないんですね」
「今話した人みたいにどうにもならない人だと」
 それならというのだ。
「駄目でしょ」
「ですね」
「極端な例でもね」
 それでもというのだ。
「学歴はね」
「大事でもですね」
「絶対じゃないのよ」
「国立大学出てもそれなら」
「もっといい例あるわよ」
「といいますと」
「あの小さい一人か二人しか議員さんいない」
 副部長はその具体的な例を述べた。
「社会とか民主とかいう」
「ああ、あの人ですか」 
 咲はここまで聞いて大いに頷いて言った。
「あの人東大でしたね」
「しかも法学部よ」
「おまけに首席ですよね」
「それであれよ」
「まさに学歴あってもですね」
「ああだとね」
 それこそとだ、副部長は話した。
「どうにもならないでしょ」
「あれで弁護士ですよね」
「元はね」
「嘘みたいですね」
「司法試験受かったこともね」
 弁護士になるにはこの試験に合格しなくてはならない、もっと言えば検事や裁判官になるにもである。
「信じられないでしょ」
「そうですよね」
「あれこそまさによ」
「学歴あってもですね」
「それだけじゃ駄目なのよ」 
 こう言うのだった。
「本当にね」
「ああだと東大法学部出ても意味ないですね」
「それも首席だからね」
「よくわかります」 
 咲は今度は心から述べた。 
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