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ドリトル先生とタキタロウ

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第八幕その一

                第八幕  皆に知って欲しいこと
 先生はバスが動きはじめた中で皆にお話しました。
「アール=ウォーレンという人は複雑な人で実は日本というか日系人とも関係が深いんだ」
「そうなんだ」
「日系人の人ともなの」
「アメリカ人だから日系アメリカ人だね」
「その人達となんだ」
「そうなんだ、元々北欧系の人で苦学しながら法律家になってね」
 先生はウォーレンという人の経歴をお話しました。
「エリートでなくて叩き上げと言っていい人なんだ」
「苦学っていうと働きながら学校に通って」
「それで身を立てたんだ」
「そうした人なのね」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのです。
「カルフォルニア州で知られる様になったんだ」
「法律家として」
「そうなったんだね」
「アメリカのあの州で」
「そうなんだね」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「政治家にもなったんだ、ただね」
「あっ、先生暗くなったよ」
「お顔が暗くなったよ」
「今そうなったよ」
「何かあるんだね」
「そうなんだ、第二次世界大戦があったね」
 今度はこの戦争のお話をするのでした。
「そして日本とアメリカも戦争をしたね」
「そうそう、太平洋戦争」
「欧州も激しかったけれどこっちも激戦で」
「日本とアメリカが戦って」
「海と島で物凄い戦争になったわ」
「その時にカルフォルニア州で日系人の抑留が行われて」 
 この戦争の中でというのです。
「日本人の血を引いているというだけで家を追われて強制収容所に入れられたんだ」
「明確な人種差別政策だね」
「そう言うしかないわね」
「どう言っても」
「本当にね」
「十万もの日系人、当時アメリカ西海岸に住んでいた人達が家を追われて」
 そうなってというのです。
「砂漠の収容所に入れられたんだ」
「戦争の時はあることでも」
「今じゃ絶対に許されないことだね」
「そんなことしたらとんでもないことになるよ」
「ナチスと同じじゃない」
「日系人というだけで犯罪者扱いだったからね」 
 人種差別によってです。
「その前にも開戦と共にとんでもない迫害が起こっていたしね」
「戦争の時はあるからね」
「戦争は憎しみを駆り立てるものだから」
「どうしてもね」
「そうしたことはあるね」
「その前にマスコミが日系人への偏見や憎悪を煽っていたしね」 
 このこともあったというのです。
「悪質なタブロイド紙がね」
「日本でもあるけれどね」
「そうしたタブロイド紙って」
「イギリスにもあるし」
「アメリカでもあるんだね」
「そうしたものはどの国でもあるからね」
 先生は悲しい目でお話しました。
「アメリカではハーストという会社があって」
「そうしたタブロイド紙を出していて」
「日系人への偏見や憎しみを煽っていたんだ」
「それが日系人への差別になっていて」
「抑留にもつながったんだ」
「開戦と同時にそれが爆発したんだ」
 日系人の人達への憎悪がというのです。
「そして抑留につながってね」
「そこにその人も関わってるんだ」
「アール=ウォーレンという人も」
「そうなんだ」
「しかも差別した側でね」
 そちらの方にいたというのです。 
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