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おっちょこちょいのかよちゃん

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259 杯の捜索者達

 
前書き
《前回》
 夜になり、休息する事にしたかよ子達に支給された夕食は寿司だった。ヴィクトリア女帝を撃破し、杖を奪還・強化に成功させた祝いと思ってかよ子は食べる。そして藤木とりえの結婚後最初の夕食も豪華だった。藤木の元にはナポレオンから届いたという薔薇が贈られる。そしてナポレオンの屋敷を訪れた杉山はナポレオンとジョゼフィーヌと面会し、そこの花畑にある薔薇やダリアを見て杉山は己の行動を顧みていた・・・!!

 オリジナルキャラ紹介・その25
 鶴井ひろみ(つるい ひろみ)
 福岡の小学生で羽井玲衣子のクラスメイト。初登場175話。見聞の能力(ちから)を所有する。風を自在に操る事ができる扇子を使用して戦う。家は扇子屋らしい。好きな食べ物はいちご、ヨーグルト。

 

 
 藤木とりえは食後は部屋に戻った。
「私はお風呂入るわ」
「う、うん・・・」
 二人がいる部屋には浴場がない。その為、1階の浴場に行かなければならなかった。藤木は出入り口前にある鐘を鳴らして遊女を呼んだ。
「りえちゃんがお風呂に入りたいって言ってるんだ。お風呂へ連れて行ってくれるかな?」
「畏まりました」
 遊女はりえを連れて浴場へ向かった。その入れ替わりで別の遊女が入ってくる。
「茂様。ナポレオンという方から頂いた薔薇をお持ちしました」
 赤い薔薇が12本花束とされていた。
「あ、ありがとう」
(りえちゃんが戻って来たら早速見せよう・・・!!)
 藤木はりえが戻るのを待つのであった。

「それにしても夜になるとどうしてこんなに不気味に感じるんだブー?」
 ブー太郎は落ち着けなかった。
「だがどこにも敵が来るような違和感はねえぜ」
 大野は見聞の能力(ちから)も持っている為、落ち着きを保っていた。
「ブー太郎君、大丈夫よ。何かあったら私が教えるわ。ゆっくり休んでてね」
 のり子の人形・キャロラインがブー太郎を安心させようとした。
「キャロライン・・・!」
「何?」
「どうしてももこちゃん以外の子と・・・?」
「のりちゃん、皆仲間なんだから助け合わないと!」
「の、のりちゃん・・・!!」
 かよ子はのり子に思い切って伝えようとする。
「私、杖が強くなったけど、やっぱりおっちょこちょいするんじゃないかって不安なんだ・・・!!それに私達だってのりちゃんと友達になりたいんだよ」
「う、うん・・・」
 のり子は考え直すのであった。
「そうだったね。ごめんね、皆・・・」
「気にするなブー。オイラ、お前も、お前の人形も、頼りにしているブー」
「皆の者、もう寝るとよい。一日でも早く本来の目的に達したいからな」
 次郎長が呼び掛ける。
「うん!」
 かよ子達は就寝するのであった。そんな中、かよ子はブー太郎の方を見る。
(ブー太郎ってもしかして・・・?)

 杉山はレーニンにあるアドバイスをした。
「長山治、か・・・。以前、オリガと言う者が赤軍の丸岡修と共に奴を狙おうとしていたのだが、失敗した」
「ああ、捕虜になった赤軍や反日の奴らを取り返してえなら、まずそいつらのいる所を狙えばいいと思うぜ。その隙に別の奴等を平和主義の世界の本部へ潜り込ませればいい」
「そうか・・・。長山治程ではなさそうだが、貴様も頭の回転は速いという事か」
 その時、トランシーバーが鳴る。
「こちらレーニン」
『お疲れ様です。こちらトロツキー。只今杯を取り返そうとしている者達に接近しました』
「そうか、ぶつかると厄介なことになるからな。現に本部に安置してあった剣を奴等に奪われているからな。窮地に陥ったら離脱するのだ。貴様のような優秀な逸材は失われるとたまらんからな」
『リョーカイしました』
 通信を終了させた。
「トロツキーが南進しているか。それでは別の援軍も使いに回したい」
「そうか、ならまた赤軍の奴らも行かせてやれよ。今こっちが劣勢なんだろ?人数が多ければ取り返せるはずだぜ」
「そうか・・・」
 レーニンはトランシーバーを再び出し、多くの同志や赤軍に伝令する。
「これより一部の者はトロツキーに続いて本部に進攻せよ!赤軍の西川純と東アジア反日武装戦線の佐々木規夫を奪還しに向かう!!」

 杯を奪還する者達は線路無しで進む列車(これは剣奪還班として共闘した北勢田竜汰の道具で出されたものである)の中で一夜を過ごしていた。鷺森光江は座席に座りながらこっくりこっくりとうたた寝している状態だった。
(・・・・・・)
 その時、はっと思い出したかのように起きた。
(・・・私、また昔の事を・・・。いや、『ここ』におるはずないか・・・)
「もう起きたんか?」
 鯉沢の方は起きていた。
「鯉沢さん、起きとうたんか?」
「ああ、嫌な予感がして寝れんじゃけん」
「私もよ」
 ゆりや政美、マリエルも起きていた。
「どうやら輝愛ちゃんが感じるって事は準備した方がいいかもね」
 ゆり達は列車から降りた。全員戦闘体制に着く。マリエルが本から妖精を出す。剣奪還の際に戦争主義の世界の本部に乗り込んだ時に活躍したシルヴィーとブルーノだった。
「シルヴィー、ブルーノ。私達に敵が近づく前に奇襲を仕掛けるのよ」
「うん!」
 二人の妖精は先に消えた。
「・・・私も見てみるか」
 政美はマフラーに宿る能力の一つ、索敵能力を使用して察知する。
「ああ、敵は眼鏡に髭のおっさんだ!マリエルが出した妖精達が殺されたぞ!」
「おし!うちが殺ったる!!」
 鯉沢は先陣を取り先に走り、敵の姿が見えた所で原子光線を放った。
「参ったか!」
「・・・ふ、遠くからヨクも私を殺ろうとしたな」
「貴方は誰なのよ!?」
 ゆりは問答した。
「私は革命のシシャ、トロツキー。貴様ら死んで貰う!!」
 トロツキーは指を鳴らした。
「あの人、一撃で私達の身体をバラバラにする気よ!」
 マリエルが見聞の能力(ちから)による先読みした。ゆりが武装の能力(ちから)で皆を防御した。
「ち、守りおって!ならこれなら!」
「武装の能力(ちから)を無効化してくるわ!」
「ち!」
 政美が高速で走り左腕を剣に変えてトロツキーの首を斬ろうとする。だが、トロツキーは武装解除の術で政美のマフラーを念力のように触らずに外した。加速能力がなくなり、剣も元の腕に戻ってしまった。
「纏めてブソーカイジョさせてもらう!」
 だが、光江が御守の能力(ちから)で神を降臨させた。
楠公(なんこう)さん、召喚!」
 楠木正成公がその場に現れた。
「そんな物もカイジョだ!!」
「やれるものならやってみたまえ。愚かなる惨殺者!」
 正成とトロツキーがぶつかり合う。トロツキーの武装解除の術は正成に上手く通用していない。
(このまま持てば・・・!!)
 光江は御守に威圧の能力(ちから)を通す。正成の能力(ちから)が更に強力になる。
「何、我がチカラがツーヨーしないだと!?」
「鷺森光江、援護に感謝だ!智・仁・勇の能力(ちから)を受けて見よ!!」
「う、うごおお・・・!!」
 トロツキーは気を失いそうになった。
「や、られて、たまる、か・・・!!」
「光江ちゃん、後は私がやるわ!!」
 ゆりが毒の拳をトロツキーに突き刺すべく突進した。
「く・・・!!」
 だが、トロツキーは決死の術を使う。ゆりの毒の術の源であるアンクレットが外れた。トロツキーは離脱した。
「逃げんな、卑怯者!!」
 鯉沢はやけくそで銃を放ち、政美も再びマフラーを巻いて右手をリボルバーに変化させて襲撃する。だが、どちらの攻撃もトロツキーに当てる事はできなかった。
「逃がした、か・・・」
[ほう、我が最強の一人であるトロツキーをここまで追い詰めるとはな]
「だ、誰、何処にいるのよ!?」
 ゆり達は周りを見回した。しかし、声の主は見当たらない。
「この声は・・・!!」
 マリエルは思い出した。この声は以前、三河口と剣の奪還の為に戦争主義の世界の本部の建物に乗り込んだ際に会ったレーニンの声だった。
「戦争主義の世界の人の声よ!名前は・・・」
[その通りだ。我が名はレーニン。そういえばあの剣を奪った小僧と共に貴様はいたな]
「レーニンだったわね。杯を取ったらしいけどどこにあるのかしら?」
 ゆりは天に顔を向けて質問した。
[さて、私が言う事ではない。だが、杯の行方を当てる方法は貴様らには無理だ]
「え?」
[杯は少なくとも我が本部にはない。更に厳重に保管されているのだ。どのような能力(ちから)を使ってでもな]
 レーニンの声はそれ以降聞こえなくなった。
「おい、レーニン、出て来やがれ!!ぶっ殺したる!!」
 鯉沢は銃を乱射しようとする。
「無駄よ、輝愛ちゃん。奴はここにはいないわ」
 ゆりは鯉沢を制した。
「兎に角、こんな夜に起こされたし、また寝るわよ」
 皆は列車に戻った。

 赤軍の長・重信房子は南方へ他の赤軍メンバーと共に飛行機で進んでいた。
(純と規夫を取り戻す・・・!!まずはそこからね) 
 

 
後書き
次回は・・・
「薔薇の花束」
 りえが入浴から戻って来た時、藤木はナポレオンが持って来た薔薇を彼女に見せびらかす。りえはそれを見て自身に違和感を感じていく。そして杖を取り返し、藤木の奪還にまた動くかよ子達の前にまた次の敵が立ちはだかる・・・!! 
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