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不思議なマンゴー

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第二章

 王は若者に対して問うた。
「そなたどうしてマンゴーを売っているのだ」
「この季節にですね」
「普通は有り得ぬ、何か秘密があるのか」
「はい、実はです」
 ボーディサッタに教えてもらったと話した、そのうえで王宮の庭のマンゴーの木からも多くの実を出した、王はそれを見て驚いた。
「まこととはな、しかしだ」
「しかしといいますと」
「余もその者に会いたい」
 王は丸々とした顔を神妙にさせて述べた、見れば実にふくよかな姿であり口髭がよく似合っている。
「チャンダーラにいるのだな」
「左様です」
「ではそこに案内せよ」
 若者に言って彼の案内を受けてだった。
 王は供の者達を連れてチャンダーラに赴いた、そのうえでボーディサッタと会って彼にマンゴーもことを話した。
 そうしてだ、こう彼に言った。
「余もその魔法を使いたい」
「マンゴーを何時でも召し上がられたいですか」
「左様、余はマンゴーが大好きなのだ」
 ボーディサッタに目を輝かせて話した。
「それ故にな」
「わかりました、それではです」
 ボーディサッタは王の願に頷いてだった。
 王にも教えた、だがここで彼は王に若者を見つつ話した。
「こちらの方にはお話していませんでしたが」
「どうしたのだ?」
「この魔法は嘘を吐くとです」
 そうすればというのだ。
「二度と使えなくなります」
「嘘を吐くとか」
「左様です」
「それは辛いな」
 王はボーディサッタの話を聞くと難しい顔になって述べた。
「人は生きているとな」
「どうしてもですね」
「嘘を吐くことがある」
「左様ですね」
「自分や周りの者を守る場合でもな」
「何かとありますね」
「何でも正直に言うとだ」
 嘘を吐かずにというのだ。
「一見いいい様だが」
「その実はですね」
「何かと困る」
「そうですね、時としてです」
 若者も言ってきた。
「嘘を吐かないとです」
「ありのままに言わないこともな」
「言わないでいる場合も」
「やはり必要だ」
「左様ですね」
「それも世の中だ」
 王は難しい顔のまま述べた。
「政治でも家庭でもな」
「そして商売でも学問でも」
「何かとな」
「生きていますと」
「嘘を吐かないことはいいことだが」
 このことは事実だがというのだ。
「しかし時としてな」
「吐かねばなりません」
「それは難しい」
「非常に、私もです」
 若者は自分のことを話した。 
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