ハッピークローバー
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第六十一話 合宿がはじまってその十
「それだとね」
「掛けても割ってもでしょ」
「零ね」
「せめてゼロコンマでも一があれば」
「どうにかなるわね」
「そうだけれど」
それでもと言うのだった。
「全くの零だとよ」
「どうにもならないわ」
「そうでしょ、だからどんな宗教や哲学でも救われない人はね」
「零点の人ね」
「もうそうなると」
それこそというのだ。
「そこに誰かが足せないと」
「どうにもならないのね」
「そして足すこともね」
これもというのだ。
「聞く耳持たないなら」
「誰も足せないのね」
「そういうものでしょ」
「そうなのね」
「だからね」
それでというのだ。
「そうした人はね」
「救われないのね」
「今お話してる人なんてね」
「まさに零点で」
「足すことすら出来ないから」
その零点の状況からというのだ。
「救われなくて」
「破滅するしかないのね」
「だから行方不明でしょ」
今現在そうだというのだ。
「天理教の教会のお世話になっても悪口ばかりで」
「天理教の仕組みのね」
「それで確かホームレスになって」
「そこから助けてもらって」
ホームレスになってもというのだ。
「お仕事と住むところ用意してもらって」
「随分よくしてもらってるわね」
「それでも悪口ばかりで」
「結局居場所なくなってね」
「行方不明でしょ」
「しかもあれよね」
理虹は眉を顰めさせて話した。
「自分の叔父さんに注意されてどついたろかって言い返したのよね」
「ああ、それもあったわね」
一華は理虹に言われてその話を思い出した。
「何かね」
「脳梗塞で倒れられて回復したけれど」
「まだ後遺症ある人にね」
「言われて」
「どついたろかよね」
「自分の叔父さんでしかも身体の悪い人にね」
そうした人にというのだ。
「そう言うのもね」
「最低よね」
「しかもちょっと言われただけみたいだし」
「それで言い返して」
「あまつさえそんな言葉でだから」
「救い様がないわね」
一華はあらためて思って述べた。
「もう」
「そんな人はもうね」
「何しても救われないわね」
「他の行いと合わせると」
五人でこれまで話してきたそれをというのだ。
「もうね」
「どうしようもないわね」
「そうでしょ」
理虹は眉を顰めさせたまま言い切った。
「最早」
「それで救われないのね」
「そうよ、今私達お話してるけれど」
「救われるにもある程度のものが必要なのね」
「あまりにも酷いと」
人としてというのだ。
ページ上へ戻る