イベリス
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第八十三話 合宿前日その八
「怯えきり萎縮している生徒に頭を下げられてです」
「挨拶で、ですか」
「その前をふんぞり返って一瞥もせず通り」
そうしてというのだ。
「うっす、それだけで挨拶とする」
「礼儀作法も何もないですね」
「こうした傲慢な輩が校長先生にもなれば」
「何するかわからないですね」
「それが日本の教育です」
「無法者の世界ですね」
「ですからくれぐれもご注意を」
速水は咲に真面目な顔で述べた。
「学校の先生は日本ではです」
「問題のある人が多いですね」
「問題のある世界なのです」
「そうなんですね」
「それも非常に」
こう咲に話した。
「ですから氷山の一角でもです」
「わかっているだけで」
他の職業に比べて犯罪が非常に多いのです」
「わかっているだけで」
「そうです」
まさにというのだ。
「そうなっています」
「そうなんですね」
「いい鉄は釘にならず」
「いい人は学校の先生にならないですね」
「はい」
その通りだと言うのだった。
「私はその様にです」
「お考えですか」
「そうしたお話をよく聞いてきてお仕事でもです」
「関わっているので」
「そうです、他の社会では有り得ない様に暴力的だったり腐敗していたり」
「そんな人ばかりで」
「そうした社会です」
「あの、そこまで聞くと」
咲はいよいよ深刻な顔になって述べた。
「学校の先生とお付き合いは」
「お嫌ですか」
「暴力的だったりするんですね」
「そうです、他の悪事もです」
「多いんですね」
「何しろ犯罪を犯しても捕まらないのですから」
そうした場所だからだというのだ。
「ですから」
「悪いことし放題ですね」
「はい」
まさにというのだ。
「左様です」
「そんな人が残って」
「偉くなっていきます」
「恐ろしい社会ですね」
「全くです、常にその問題は指摘されています」
教育ここでは学校の教師のモラルがそれである。
「しかしです」
「中々ですね」
「改善は進んでいません」
「難しいんですね」
「学校の先生の世界は閉鎖された世界なので」
「今店長さんが申し上げた通り」
「そうした世界ですから」
だからだというのだ。
「その改善はです」
「進んでいないんですね」
「左様です」
まさにというのだ。
「これが」
「一気にはいかないですね」
「ことを一気に進めようとするとよくない場合があります」
速水は咲の今の言葉に冷静に諭す様に答えた。
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