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ハッピークローバー

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第六十話 合宿を前にしてその五

「テレビで笑って言ってたわ」
「そうだったのね」
「そうよ、その方がね」
「隠すよりも」 
 それよりもというのだ。
「いいかも知れないわね」
「堂々となのね」
「そうかも知れないわね」
「そんなものかしらね」
 一華はどうかという顔になって述べた。
「世の中って」
「そうよ、堂々とした方がね」
 その方がというのだ。
「むしろね」
「いいのね」
「そうかもね、しかしね」
「今度は何なの?」
「お母さんもお父さんも浮気はね」
 これはと言うのだった。
「したことないのよ」
「何かお父さんそうしたことは」
「しないでしょ」
「そうとしか見えないわ」
 一華ははっきりと答えた。
「外見もそうだし性格もね」
「もてないでしょ」
「女の人に積極的に声かけたりとかも」
「しそうにないでしょ」
「ごく普通のね」
 ありふれた、というのだ。
「中年のおじさんでね」
「そうしたお話とは無縁でしょ」
「そう思うわ」
「実際若い頃からよ」
「女の人のお話はなの」
「ないのよ」 
 そうだったというのだ。
「女の人を見ることもね」
「ないのね」
「精々ちらっと見て」
 そうしてというのだ。
「奇麗だな、でね」
「それでなの」
「終わってるわ」
「それ位ね」
「それ位ならでしょ」
「別にいいわね」
 それならとだ、一華も言った。
「はっきり言って」
「それでお母さんもね」
「お父さん以外にはなの」
「ええ、浮気とかそういうのって実はね」
「実は?」
「かなり面倒臭いって聞いてるわ」
「そうなの」
「だって一度に二人も三人もと付き合って」
 そうしてというのだ。
「奥さんにばれないとかね」
「大変ね、そうなると」
「色々しないといけないでしょ」
「頭も使ってね」
「だからね」
「浮気をすることもなのね」
「これがね」
 どうにもというのだ。
「面倒臭いらしいわ」
「それでばれると修羅場ね」
「それで離婚もよ」
 これもというのだ。
「あるから」
「割に合わないわね」
「そうよ、だから最初からね」
「しないことね」
「悪いことだしね」
 そもそもというのだ。 
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