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憎い相手が患者で

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第二章

「私を散々です、小学校中学校と」
「まさか」
「いじめていた、一時期不登校にさえです」
「なっていて」
「こいつのせいで、ここで会ったがです」
 憎しみに満ちた目で話した。
「もうそれこそ」
「あの、まさか」
「そうしかねないので」
 それでというのだ。
「私にはこの人はです」
「助けられないですか」
「無理です」
 感情的にというのだ。
「とても」
「ですが」
 それでもとだ。後輩は言った。
「私達は医者です」
「だからですね」
「今この人を助けられるのは貴女だけです」
 後輩は憎しみに燃えた目のままの春香にこうも言った、強い声で。
「ですから」
「それで、ですか」
「お気持ちは今は」
「抑えて」
「そしてです」 
「この人を助けることですか」
「お願いします」
 切実な声で言うのだった。
「ここは」
「私だけがですか」
「この人を助けられるのです」
「憎い人でも」
「ですからどうか、医師として」
「そうですか」
 ここまで聞いてだった。
 春香は死にそうな、どうしても嫌だという顔になった。だがそれでもだった。
 意を決した顔になってだ、後輩に答えた。
「医師ならですね」
「そうです、救える命を救う為に生きているので」
「どんな人でも」
「ですからここは」
「そうします、過去は忘れられませんが」
 それでもとだ、春香は意を決した顔のままで答えた。 
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