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イベリス

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第八十三話 合宿前日その六

「言うことを聞かせるのはです」
「教育じゃないですか」
「はい、少なくとも民主主義の教育ではありません」
「学校の先生よく民主主義を言いますが」
「彼等の言う民主主義は北朝鮮だったりします」
 咲に表情を消して述べた。
「あの国の教育が理想と言う先生もいますし」
「そういえば北朝鮮好きな先生も多いですね」
「あの国の正式名称ですが」
 速水はこれも話した。
「朝鮮民主主義人民共和国ですね」
「国名全部嘘ですよね」 
 咲は北朝鮮の正式名称を聞いて述べた、この国名自体は咲にしても知っている。よく聞く国名であるからだ。
「どう考えても」
「あの国はそうですね」
「共和国でないですし」
 そもそもというのだ。
「世襲制じゃないですか」
「はい、階級まであります」
「人民の国でもないですし」
「完全な独裁国家ですね」
「そして民主主義も」
「ありません」
 全否定で言い切った。
「間違っても」
「そうですよね」
「ですがその国を民主主義と言い」
 そうしてというのだ。
「崇拝すらしています」
「そこまで好きなんですね」
「そしてあの国の教育が理想とです」 
 その様にというのだ。
「考えている人達がです」
「民主主義を言ってるんですね」
「あの国は首領様に逆らうなら暴力なぞです」
「当然ですね」
「一家全員死刑にすることもです」 
「ありますよね」
「普通です」
 それがというのだ。
「そうした国ですから」
「暴力位はですか」
「何でもありません」
「そういうことなんですね」
「はい」
 まさにと言うのだった。
「ですから生徒に暴力を振るっても」
「いいんですね」
「普通なのです」
「とんでもないですね」
「中には機嫌が悪く」
 教師がというのだ。
「以前はそれを何とも言わなかったのに」
「機嫌が悪くてですね」
「激しく殴る蹴る様な」
「暴力を振るう先生もですか」
「いますが」 
 それでもというのだ。
「そこまで無道をしてもです」
「捕まらないんですね」
「ここまですればヤクザ屋さんの世界でも問題になります」
「犯罪を犯す人達の間でも」
「感情で過剰な暴力を行う人にです」
 抵抗や反抗を出来ない相手に対してというのだ。
「誰がついていくか」
「ついていかないですね」
「何時自分がそうなるか」
「わからないですね」
「そうした異常者が普通に大手を振って歩けるのがです」 
 まさにというのだ。 
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