X ーthe another storyー
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第四話 神犬その十二
「十ヶ月経ちです」
「そこから出して」
「そのうえで育てました、名前は霞月といいますが」
それでもとだ、老人は庚に話した。
「哪吒とも呼んでいます」
「中国の神話に出て来る造られた神ですね」
「はい、ですがわしはです」
「お孫さんとしてですか」
「そう考えてです」
「名前を付けられたのですね」
「そうです、ですが地の龍として運命に入るのなら」
それならばとだ、庚に話した。
「もうです」
「それならですね」
「哪吒とお呼び下さい」
「そうですか」
「そして運命の担い手とされて下さい」
「わかりました、では」
庚は老人の言葉を受け確かな声で応えた。
「その様にです」
「されていかれますか」
「これよりお孫さんをお預かりします」
「宜しくお願いします」
「では」
「はい、これが永遠の別れになりますね」
老人は悲しい顔で言った。
「霞月とは」
「否定しません。ですがお孫さんを粗末にすることはしません」
庚は真剣な顔で約束した。
「断じて。ですからご安心を」
「そうしてくれますか」
「誓って。それでは」
「はい、孫を呼びます」
老人はこう言ってだった、手元にあった電話で連絡をした。すると程なくして数人の者に連れられてだった。
哪吒が来た、哪吒は庚を見て言った。
「僕はこれから」
「夢で言われていたわね」
庚は席を立った、そのうえで哪吒と対して微笑んで話した。
「そうね」
「地の龍として戦う」
「ええ、これからはね」
「それじゃあ」
「ではまずはね」
庚はさらに言った。
「私と来てくれるかしら」
「地の龍が集まる場所に」
「一旦ね。そこでまずやってもらうことを話すから」
「それをすればいい」
「そうよ。ではね」
「今からそちらに行く」
「私とね」
こう哪吒に話した。
「いいわね」
「わかった。行く」
「霞月、行って来るのだ」
老人は哪吒に座ったまま沈痛な面持ちで告げた。
「いいな」
「うん」
哪吒は老人を見ず無表情で答えた。
「そうしてくる」
「ではな」
「そして戦う」
「お前を愛していたし今もだが」
老人はさらに言った。
「感情を備えられなかった」
「僕は生きているけれど」
「そうだな、それだけでいいのか」
「僕は」
「ならいい、ではな」
「これからは」
「地の龍として戦って来るのだ、そして」
哪吒を見て告げた。
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