ケージの中から吠えても
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第二章
家族が応えないのでだ、ケージから出て。
リビングのちゃぶ台の傍に座って新聞を読んでいる文太のところに来てだった、彼の前に座って鳴いてきた。
「クゥ~~ン」
「どうしたんだ?」
文太はここで応えた。
「一体」
「ワンワン」
ここでだ、ふわりは。
自分のケージの方を見た、そしてだった。
ふわりはケージの方を見た、文太もそこを見るとだった。
「ああ、おもちゃないな」
「おもちゃ探して欲しいのね」
妻も言ってきた、ここで家事を終えた。
「そうなのね」
「いつもケージの中で遊んでいるおもちゃだな」
「何処に行ったのかしら」
「ちょっと探すか」
夫婦で話してだ、そのうえで。
おもちゃを探すとリビングの端にあった、それでだった。
ふわりに渡すとふわりは尻尾を振っておもちゃを咥えてケージの中に入れた、そのうえでケージの中で遊びだした。
その様子を見てだ、妻は夫に話した。
「こうしてね」
「犬がケージの中で吠えてか」
「呼んでもよ」
それでもというのだ。
「まずはね」
「応えないことだな」
「それでよ」
「犬の方から来ることを待つんだな」
「そうしてからね」
「来てか」
「応えることよ」
こう夫に話した。
「いいわね」
「そうだな、犬と一緒に暮らすならな」
「上下関係で成り立つ生きものだから」
「そこはちゃんとしないとな」
「そうよ、しっかりとね」
ふわりを見つつ話した、そしてだった。
二人はくつろぎだした、暫くふわりを見ていたがすぐに遊び疲れて欠伸を出して寝た。二人はそんな彼女を見て自然と笑顔になった。
ケージの中から吠えても 完
2023・1・23
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