星河の覇皇
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第八十三部第二章 撤退の果てにその二
「すぐにまた動く」
「そうされますね」
「そうする、そしてだ」
「すぐにですね」
「任務に戻る」
「これまでと同じですね」
「本来なら酸素タンクで休みシャワーの時以外はな」
それこそと言うのだった。
「働いているべきだ」
「今は」
「三交代、八時間の仕事になっているが」
それをというのだ。
「八時間の休養の時もな」
「食事はレーションで済ませ」
「そうしてな」
「酸素タンクでの睡眠とシャワーの時の様に」
「そうだ、まさにだ」
「休まずにですね」
「働くべきだが」
これが理想だが、と言うのだった。中佐も。
「無理だ」
「そこまではですね」
「やはり人間休養も必要だ」
「一日十六時間の行動も」
「今は平気でもな」
それでもとだ、中佐は現実を話していった。
「後で疲れが来る」
「そうなってしまいますね」
「どうしてもな、だからな」
「八時間の休養は」
「全員摂ってもらう」
「隊長もですね」
「そうなる、防衛ラインの施設も重要だが」
それだけでなくというのだ。
「やはりな」
「その後ですね」
「オムダーマン軍との戦いがある」
「そちらが本題ですね」
「その時に戦えないのではな」
「本末転倒ですね」
「だから今はな」
この時はというのだ。
「どうしてもな」
「施設と共に」
「かなり切り詰めているが」
「休養も重要ですね」
「寝ている兵の方が強い」
中佐はこうも言った。
「寝ていない兵よりもな」
「人はそうですね」
「そうだ、機械にしても常に動かしているとな」
「限界がすぐに来てしまいます」
「動かない時もある機械よりもな」
「限界が来るのが速いですね」
「それと同じだ、機械もそうであるなら」
「生身の人間は尚更でね」
「すぐに限界が来てだ」
そしてというのだ。
「動けなくなるか肝心な時にだ」
「つまりオムダーマン軍との戦闘の際に」
「動けなくなる、ましてや先程の戦いでは不覚を取った」
オムダーマン軍とのそれはというのだ、中佐は国境線での戦闘のことを思いだし忌々しく話をした。
「あの時のことを思うとな」
「やはりですね」
「万全の状況にしておかないとならない」
「将兵達も」
「さもないと再び敗れる」
「そして次に敗れると」
「敗れ方にもよるが」
それでもというのだ。
「それ自体がな」
「我々の運命を決定してしまいますね」
「そうだ、次に国境線の時の様に敗れると」
あの時の様に一方的な敗北ならというのだ。
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