ハッピークローバー
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第五十七話 少しでも思うことその五
「その人としてはね」
「必死になのね」
「努力している場合もあるよ」
「そこはそれぞれね」
「けれどその人なりにね」
「一生懸命努力していれば」
「それはきっと報われて」
努力が報われるのもまたこの世の摂理だ、その時その場で実らずとも何処かでそうなるものであるのだ。
「幸せになれるよ」
「そうしたものよね」
一華もそれはと応えた。
「努力って」
「だからね、努力はね」
「絶対よね」
「すべきだよ、自分がすべき努力をしたら」
これもそれぞれだ、勉強なりスポーツなり仕事なりでだ。
「それは実って」
「幸せになれるわね」
「絶対にね、だから俺はね」
「努力しているの」
「そのつもりかも知れないけれど」
達川はここでは少し自嘲気味に笑って応えた。
「けれどね」
「努力してるのね」
「本当にそんな人になりたくなくて」
「幸せになりたいから」
「だからね」
それでというのだ。
「今もしてるし」
「これからもね」
是非にという言葉だった。
「努力していくよ」
「私もそうしないとね」
「誰でもね、ただ全部の人に修行みたいな努力はね」
「出来ないわね」
「子供に毎日マラソンの練習なんて」
それをさせることはというのだ。
「無理だしね」
「それは当然よね」
「うん、若ししろって言ったら」
「その人がおかしいわね」
「子供には子供の努力があって」
「大人には大人によね」
「スポーツ選手もそうで」
それでというのだ。
「学者さんだってね」
「それぞれよね」
「努力の形や量があるよ、身体が弱い人に毎日夜遅くまで頑張れとか」
そうしたことをを強いることはというのだ。
「死んでもね」
「おかしくないわね」
「そうだよ、努力はそれぞれだよ」
「形と量は」
「その人が必死にしていたら」
「いいわね」
「駄目なのは何の努力もしないことで」
今まで話していた輩の様にというのだ。
「自分なりに努力する」
「それでいいのね」
「そうじゃないかな、一ちゃんにもだよ」
「私の努力があるのね」
「それを果たしていったら」
「幸せになるのね」
「そうだと思うよ」
まさにというのだ。
「それで人の努力を否定することは」
「したら駄目ね」
「人の努力を嗤えるなら」
それをしたならというのだ。
「じゃあ自分はどうか」
「そうなるわね」
「例え努力していても」
そうであってもというのだ。
「人の努力を否定する資格があるか」
「ないわよね」
「むしろ努力していたら」
そうであるならというのだ。
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